アルコール依存症171
「すいません、これは自分の死刑執行直前の最期の嘆願なのですが、こいつを病院搬送するならば我々二人も一緒に連れて行って欲しいのですが、お願い出来ますか、看守さん?!」と悪友は看守に向かって最期の嘆願を喚き立てた。
看守が現れ事務的な口調で言い放った。
「うるさいぞ。静かにしないと貴様ら全員懲罰を与えるぞ」
間髪を入れず悪友が大声で嘆願する。
「こいつ禁断症状で自傷行為を始めたのです。このままではエスカレートして全身血だらけになるまで掻きむしり、パニックを引き起こし、呼吸困難に陥って死んでしまう可能性があるのです、看守さん何とかして下さい?!」
看守がのたくり手で身体を掻きむしって妄想を口早に喚き立てている行雄をじっと凝視してから、言った。
「分かった。病院搬送出来るかどうか、上司に相談してみよう」
そう告げて踵を返し看守室に戻ろうとする看守に対して悪友が喚いた。
「すいません、これは自分の死刑執行直前の最期の嘆願なのですが、こいつを病院搬送するならば我々二人も一緒に連れて行って欲しいのですが、お願い出来ますか、看守さん?!」
振り返り、至って冷徹な視線を悪友に向けながら看守が無機質に言い放った。
「分かった。それも併せて上司に相談陳情してみよう」




