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アルコール依存症17
「鹿をひたすら殺しまくってやる」と行雄は再度うそぶいた。
車を走らせながら悪友が尋ねる。
「それでこれからどうやって、あのジジイを水先案内人にするのだ?」
でっぷりとして身体が黒ずんでいる行雄が簡単に言って退ける。
「鹿をひたすら殺しまくって、逆にあのジジイの復讐心をあおり、思う存分復讐させればいいではないか。それで店は繁盛するし、俺のアル中も治って、惚れた婆さんに会えるという塩梅さ」
悪友が渋面を作り言った。
「その前に殺されちまったら、元も子も無いじゃないか!」
アルコールで気が大きくなっている行雄がひたすらうそぶく。
「殺される前に殺しまくるだけよ。たかが老人じゃねえか。俺達には奴らに無い若さがあるしな」
「多勢に無勢、集団の力には敵わないだろう。違うのか?」
行雄が舌なめずりをしてから言った。
「集団と言っても、たかがくたばり損ないの老人達に何が出来ると言うのだ。お前怖じけづいたのか?」
「いや、怖じけづいてはいない。俺は冷静沈着に物を言っているのだ」
行雄が言い放つ。
「ならば冷静沈着に鹿を殺すべきだろう」




