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アルコール依存症166
「いや、お前の愛しい婆さんはけして死に神なんかではなく、お前を愛しながら植物人間になっているだけさ…」と悪友は行雄を慰めた。
行雄が震えながら悲しげに言った。
「ば、婆さんは何の病気なのだ?」
悪友が答える。
「そこまでは分からないんだ…」
行雄が涙を拭い言った。
「婆さんが、お、俺を呼んでいるのか?」
悪友が首を振り否定する。
「いや、お前の愛しい婆さんはけして死に神なんかではなく、お前を愛しながら植物人間になっているだけさ…」
行雄が震えながら深呼吸して言った。
「婆さんを助けてやりたいが、今の俺にはどうする事も出来ないではないか、ち、畜生」
悪友が首を振り言った。
「いや、お前も病院送りになればいいのさ」
死刑囚が驚き言った。
「感染症になるのか?」
悪友が否定する。
「いや、アル中の禁断症状で行ってもらうしかあるまい」




