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アルコール依存症163
「お前らは死刑囚だ。その事を十二分に弁えろ」と看守は冷徹に言った。
搦手を使わず単刀直入に看守に尋ねる事を決め、丁重な口調で悪友が看守を呼んだ。
看守が厳めしい顔付きをして尋ねる。
「何の用だ?」
悪友が慇懃な態度で尋ねる。
「すいません、甦らせる相手の女性は生きているのですか、それとも死んでいるのですか、どちらなのか教えて欲しいのですが?」
看守が言った。
「そんな事聞いてどうするのだ?」
悪友がへつらうように尋ねる。
「いや、甦らせるというから死んでいるのかなと思って?」
看守がポーカーフェースのままに答える。
「お前らは我々の指示に従い、ひたすら待機していれば良いのだ。それ以上何があるのだ?」
悪友が鉄格子越しに言った。
「果報は寝て待てと言いますが、自分が死刑になる事は待ってはいられませんので、つい尋ねてしまいました?」
看守が眉一つ動かさずに言った。
「お前らは死刑囚だ。その事を十二分に弁えろ」




