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アルコール依存症16
「あのジジイを利用して、俺は老人連合の本部に行き、惚れた婆さんに会う作戦だ。あのジジイを逆に水先案内人にしてやる」と行雄がうそぶいた。
老人を降ろした後、悪友が怪訝な顔をして行雄に尋ねる。
「何故降ろしたというか、逃がしたのだ。あのジジイは俺達に殺すと、言わば宣戦布告して来た敵なのだぞ」
行雄がビールをあおり不敵な笑みを湛えながら答える。
「あのジジイを利用して、俺は老人連合の本部に行き、惚れた婆さんに会う作戦だ。あのジジイを逆に水先案内人にしてやる」
「おい、あのジジイははっきり殺すと俺達に宣戦布告して来たのだぞ。そんな悠長な事言っていられるのか?」
行雄がうそぶく。
「たかが老人集団に何が出来る。しゃらくさいわ!」
悪友が行雄の意見を否定する。
「この国を操っているのは言わば老人集団じゃないか。あのジジイの言う通り嘗めてかかるのはまずいのではないのか?」
行雄がビールを再度あおり言った。
「ふん、あんな田舎者のくそジジイに何が出来るかと俺は言っているのだ。あのジジイなど老人連合の下っ端だろう。違うか?」




