アルコール依存症154
「そうだな。裏切られて、まんまと騙され俺は煮え湯を飲まされたからな。今でもその憎悪は消えていない程にな」と悪友はいみじくも言った。
死刑囚が尋ねる。
「あんた実際には女にどのような火傷を負わされたのだ、具体的に言ってくれ?」
悪友が過去の古傷を思い浮かべ渋い表情を作り答える。
「一番こっぴどくやられたのがキャバ嬢の恋愛ゲームかな」
「どんなゲームだったんだ?」
悪友が答える。
「若い頃俺は知り合いの処でキャバクラのマネージャーをやっていたのだけれども、その役職はまあ所謂役得があると言うか社交を入れ食い状態で、その社交も遊び半分で手をつけたのだけれども、俺はその社交の素人ぽいところとひねこびた不器用さに、ついつい本気になってしまい、入れあげて逆に貢いだりもしていたのだけれども、その社交はとんだ食わせ者で自分が指名獲得競争に勝ちたいが為に、店長とも裏で出来ていて、俺がそれに気が付きふざけるなと怒鳴り詰ると、その事を店長に告げ口して、結局俺は店長にクビ切られて煮え湯を飲まされたんだ…」
死刑囚が尋ねる。
「それが一番悔しかった恋愛ゲーム惨敗の記憶なわけだ?」
悪友が頷き答える。
「そうだな。裏切られて、まんまと騙され俺は煮え湯を飲まされたからな。今でもその憎悪は消えていない程にな」




