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アル中の歌  作者: 岩本翔
151/260

アルコール依存症151

「いや、子供だけでいいかなと俺は思っているんだ」と死刑囚は言った。

悪友が言った。





「奥さんに未練は無いのか?」





死刑囚が臍を噛むように唇を固く結んでから言った。




「棄てられた身だからな、親権も一方的に盗られたし、未練が無いと言えば嘘になるだろう。ただ女という生き物は男より遥かに現実的だからな。俺が負け組になった瞬間に見せた冷酷そのものの態度は正に女そのもののあくの強さであり、生活を苦しめる亭主を蔑む、あの残忍な眼つきには、はっきりと言って未練は無いけれどもな」




悪友がやる瀬ない眼差しをしてから尋ねる。




「いい時は素晴らしい良妻賢母だったわけだ?」





死刑囚が顔をしかめ苦笑いしてから答える。




「そうだな。落ちぶれた途端冷酷なる鬼に豹変してしまったのさ。男なんて自分の基盤を支える経済力や家庭を失うと脆く弱いだけの生き物だからな。この様なわけだ」




悪友が改まって尋ねる。





「ならば子供だけではなく、最期には奥さんにも会いたいか?」





死刑囚が首を振り息をついてから言った。





「いや、子供だけでいいかなと俺は思っているんだ」

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