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アル中の歌  作者: 岩本翔
150/260

アルコール依存症150

「子供には罪は無いからな」と悪友は言った。

悪友が尋ねる。





「子供には罪は無いからな」





その言葉を聞いて死刑囚が熱い涙を流してから言った。





「それを言ってくれるな。俺はその言葉を聞くと、いたたまれない程寂しくなるのだ。自分の愚かしさに自暴自棄になってしまうんだ」




悪友が訝り尋ねる。





「でもあんたは会社を乗っ取られた言わば被害者だろう。被害者ならば罪は無いではないか?」




死刑囚が否定する。





「いいや、俺は所謂勝ち組に成るために卑劣なる行いも一杯したし、勝つ為には手段を選ばずに人を残忍に苦しめ陥れたからな。その恨みでこうなった側面もあるから、完全なる被害者とは言えないと思うのだ」





悪友が尋ねる。





「それが自分の愚かしさと痛感しているのか?」





死刑囚が自分を戒めるが如くしきりに頷き答える。





「そうだ。華に酔っている時は有頂天になって負け組の苦しみなど到底分からないからな。でも負け組になって全てを失い、敗残者の気持ち、その愚かしさを痛感するわけさ」





悪友が息をつき言った。




「子供に会いたいが、子供に会わせる顔も無い程に自分の愚かしさを痛感しているわけだ…」





死刑囚が涙を拭い言った。





「そうだ…」

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