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アル中の歌  作者: 岩本翔
148/260

アルコール依存症148

「親不孝してやる事が俺の親孝行だったのかもしれないな」と悪友が切なげに言った。

死刑囚が尋ねる。





「あんたは家族の誰に会いたいのだ?」





悪友が腕を組み切ない顔付きをして答える。





「俺はチョンガーだから、死ぬ前に会うのならば、やはり母親だろうな」




死刑囚が恭しく頷き言った。





「その口っぷりだと相当迷惑かけた口なんだ?」





悪友が苦笑いしてから言った。





「俺は世間でいうところのパラサイトシングルだからな。若い頃はやんちゃでやりたい放題やって来た分母親には随分と迷惑の掛けっ放しだったからな。死ぬ前に一言詫びを入れたいと言うか、謝りたいと言うのが本音かな」





死刑囚が思わず微笑み尋ねる。





「どんな感じで謝りたいんだ?」





「マザコンでいい歳して結婚出来なかった半人前の俺を許して下さい、母さん。迷惑掛けてすいませんでした。そんな感じかな…」





微笑みを絶やさずに死刑囚が言った。





「そこまで分かっているならば、何故親孝行してやらなかったのだ?」





悪友が泣き笑いの表情を浮かべ切なげに言った。





「親不孝してやる事が俺の親孝行だったのかもしれないな」

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