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アルコール依存症147
「こいつとは切っても切れない腐れ縁だからな」と悪友は言った。
死刑囚が尋ね返す。
「あんたは死ぬ前に会いたい家族はいないのか?」
悪友が曇った表情をして答える。
「それは、いるさ」
死刑囚が行雄に向かって手を差し向け、悪友に尋ねる。
「見たところアル中のようだが、あんたの兄弟かそれとも友達か?」
「友達だ」
死刑囚が驚き一声唸り声を上げてから言った。
「友達に付き合って、こんな地獄の底まで来たのか?」
悪友が複雑な表情を作り言った。
「こいつとは切っても切れない腐れ縁だからな」
死刑囚が呆れ顔をしてから言った。
「友達に付き合って死んじまったら、家族に会えないじゃないか、それでもいいのか?」
悪友が瞼を伏せ答える。
「ここまで来たら、仕方ないではないか」




