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アル中の歌  作者: 岩本翔
146/260

アルコール依存症146

「俺は一目二人の幼子に会いたい、それがあるから往生際が悪いのだ…」と死刑囚は言った。

死刑囚をしげしげと見詰め悪友が尋ねる。





「矛盾しているな。それならば改めて尋ねるがあんたは死に場所を探していたわけだ。だからここで死刑になるのはあんたにしてみれば本望なわけだ。それなのにあんたは往生際が悪い。それはどうしてそうなるのだ?」




死刑囚が再度涙ぐみ、それを堪えて言った。




「俺は一目二人の幼子に会いたい、それがあるから往生際が悪いのだ…」




悪友が頷きしみじみと言った。





「だから死刑執行前の最期の願いにそれを盛り込みたいのか?」





死刑囚が恭しく頷き言った。





「そうだ。と言うか、脱獄などしたら俺はその願いから逆に遠ざかる気がするので、俺は進んで脱獄の道を奨めてはいないわけだ」





悪友が物静かに尋ねる。





「成る程。あんたは幼子に会ってから死にたいのだな?」





死刑囚が再度涙を拭い気丈に言って退けた。




「そうだ」

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