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アル中の歌  作者: 岩本翔
144/260

アルコール依存症144

「一方的に離婚され、俺は家を追い出されたのだ」と死刑囚が涙ながらに言った。

死刑囚が即答する。





「ここでは名前など言っても意味は無いからな。名乗らなくてもいいか?」





悪友が頷き答える。





「名前なんてどうでもいい。要するに何処の誰で何をしていたのかを尋ねているわけだ?」




我が意を得たりと恭しく頷き死刑囚が答える。





「ある地方都市でチェーン店を営み、巨大なる利益を得ていたのだが、驕れる者久しからずで、会社を乗っとられ、莫大なる借金をして夜逃げ同然にそこから遁走して山中をさ迷い、死に場所を探していたのさ」




悪友が言った。





「つまり人生の敗残者、体よく言えば世捨て人と言うわけか?」





死刑囚が答える。





「まあそんなに格好よいものでは無いが、敗北者という語句は当たっていると思う…」




間を置き悪友が尋ねる。





「家族は?」





死刑囚が堪らず涙ぐみ答える。





「女房と幼子二人がいた…」





その様子を見て悪友が固唾を飲み尋ねる。





「奥さんとは離婚しなかったのか?」





死刑囚が答える。





「一方的に離婚され、俺は家を追い出されたのだ」

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