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アルコール依存症141
「でもその方法はリスクが高すぎるのではないのか?」と死刑囚が異議を唱えた。
悪友が渋面を作り言った。
「しかし、流行り病と言ったって、そんなに簡単になれるものではないだろう。俺はそう思うが?」
行雄が震える手を挙げて合図するような仕草をした後言った。
「絶食して、歯を磨いたりせず、うがいや手洗いをしなければなるさ」
悪友が渋面を崩さずに反論を重ねる。
「それはそうだが、雑菌を取り入れて肺炎を引き起こしたら、脱獄どころかそれこそ全員命取りに成りかねないぞ?」
行雄が言い放つ。
「死ぬも生きるもどうせ一か八かの賭けならば、やるしか無いではないか」
悪友が唇を固く結び恭しく頷いた後言った。
「そうだな。いずれにしろ全て一か八かの賭けならば、やるしか道は無いか…」
行雄が頷き答える。
「そうだな」
その結論に対して死刑囚が異議を唱えた。
「でもその方法はリスクが高すぎるのではないのか?」




