14/260
アルコール依存症14
「復讐してやる。わしら老人連合を嘗めるなよ」と老人が言った。
後部席に乗った老人が言った。
「あんた方、先だって家の鹿を殺して食っただろう?」
怪しげな雰囲気をはねつけるように悪友が訝る。
「家の鹿って、どういう意味だ?」
臆す事なく老人が答える。
「家の飼い鹿じゃ」
行雄がビールを噴き出し笑ってから言った。
「飼い犬ではなく、飼い鹿か?」
老人が言った。
「この郷ではそんなの当たり前の事なんじゃ。お前さん方、わしの飼い鹿を撥ねて殺し、食っただろう?」
悪友が否定する。
「何の証拠があるのだ。俺達はそんな事はしていない」
老人は引かない。
「わしは一部始終を見ていたのじゃ。あんたがわしの飼い鹿を叢に引きずり込み、登山ナイフを使って切り刻み食ったじゃないか?」
行雄が一際大声で笑い開き直る。
「確かに俺は食ったが、それがどうしのだ。くそジジイ!」
老人が不気味に沈黙した後言った。
「復讐してやる。わしら老人連合を嘗めるなよ」




