133/260
アルコール依存症133
「死を生に変えようと努力しても、絶対に変わらない死ならば変えようが無いのだから無意味さ」と死刑囚は諦め顔で言った。
死刑囚が続ける。
「いずれにしろ俺達は全員死刑囚なのだから、確実な事は皆死刑になるという事さ。それ以外何があるんだ?」
悪友が答える。
「その最終的な死刑の在り方を推理模索して回避出来ればいいかなと思っているわけさ」
死刑囚が面映ゆい顔をして言った。
「どんな推理をものしても、最終的な死刑の内容を体験した者が一人もいないのだから、それはどこまで行っても憶測止まりで、話し合うだけ無意味な事だろう、違うかな?」
悪友が困惑しつつ答える。
「しかし手をこまねいていても仕方ないし、どんな些細な事柄でも論じ合って突破口を見出だす事は大切なのではないかな。俺はそう思うが…」
死刑囚が嘆息し諦め顔で言った。
「死を生に変えようと努力しても、絶対に変わらない死ならば変えようが無いのだから無意味さ」




