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アルコール依存症13
「道に迷ってしまったので、乗せてってくれまいか」と老人が言った。
飛び出したのは老人だった。
咄嗟に悪友が窓から顔を出しその老人に怒鳴る。
「ジジイ、死にたいのか、馬鹿野郎!」
怒鳴られても老人は慇懃に頭を下げ、歩み回り込んで悪友に懇願した。
「すまない。道に迷ってしまったのだ。次の村落まで送ってくれまいか?」
行雄がその老人に向かって言い放つ。
「何だ、あんた本当に人間か。幽霊ならば、俺達を騙すつもりなのか、ジジイ?」
老人が苦笑いを浮かべてから答える。
「足のある幽霊もいないじゃろう。わしは本当に道に迷ってしまったのじゃ。悪いが乗せていってくれまいか?」
悪友が行雄に言った。
「とりあえず幽霊とかではなさそうだし、どうする、乗せるか?」
ビールを飲んでから行雄が答える。
「まあ老人連合を探してここまで来たのだし。困っている老人を助けるのも何かの縁かもしれないしな…」
悪友が念を押す。
「乗せるんだな?」
行雄が不承不承の感じで答える。
「ああ…」




