アルコール依存症127
「おぎゃーと泣く酒の滴る子供の産声が俺の愛しい婆さんの愛ならば、そんなのは赤く染まった散り際の桜の花びらに似て余りにも寂しいし、寒い光景じゃないか。だから酒の花びらの散る音を聞いて俺は生まれたての赤ちゃんになって、酒の産声を上げたいのさ。この気持ちお前に分かるか、これも妄想ならば悲しい悲しい産声の酒の花びら持って来い、早く酒の花びら持って来い!」と行雄は泣き笑いしながら切々と言った。
行雄が一度白目を剥き涎を一筋流して言った。
「おい、俺の口に合うのは婆さんの咲いた花の香りの酒をくれではないのだ。背筋が凍るようなアルコールの婆さんに似た愛の酒なのさ。それが行方不明ならば、そんなのは陶器の中に咲いた酒の香りの散り際の桜と同じで余りにも寂しいじゃねえか。これも妄想か。えー友よ、答えてみろ。競争馬の落馬した酒の散り際の桜なんか誰も見向きもしないならば、これも妄想か、これも妄想か、これも妄想か、ならば妄想証明の橋げたの下から伸びる酒を持って来い。友達ならば持って来い。これも妄想ならば、妄想証明の酒持って来い!」
そう言って狂ったように泣き笑いする行雄を悪友が涙ながらに懸命に宥める。
「妄想なんかじゃない。お前の婆さんに対する愛は本物なのだから、なっ、だから俺と一緒に婆さんを探そうではないか?」
行雄が熱い涙を流しながら言った。
「おぎゃーと泣く酒の滴る子供の産声が俺の愛しい婆さんの愛ならば、そんなのは赤く染まった散り際の桜の花びらに似て余りにも寂しいし、寒い光景じゃないか。だから酒の花びらの散る音を聞いて俺は生まれたての赤ちゃんになって、酒の産声を上げたいのさ。この気持ちお前に分かるか、これも妄想ならば悲しい悲しい産声の酒の花びら持って来い、早く酒の花びら持って来い!」




