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アルコール依存症124
「おう、厳罰にでも何でもしてくれ、俺は酒を飲んで、婆さんに会えれば本望なのだ。だから婆さんに会わせてから酒をくれ、それが俺への厳罰ならば本望だ!」と行雄が看守に向かって息巻いた。
二人の騒ぎに、看守が現れ冷たい口調で告げた。
「二人共うるさいぞ、静かにしろ」
その看守を見て行雄が言った。
「おい、婆さんは何処にいるのだ、さっきそこの入り口を横切ったじゃないか。出せ!」
すかさず悪友が執り成す。
「すいません、こいつ又禁断症状を引き起こしているのです。許してやって下さい」
看守が言った。
「これ以上うるきくするなら厳罰に処するからな」
狂った行雄が開き直る。
「おう、厳罰にでも何でもしてくれ、俺は酒を飲んで、婆さんに会えれば本望なのだ。だから婆さんに会わせてから酒をくれ、それが俺への厳罰ならば本望だ!」
看守が悪友を見遣り言った。
「この男を静かにさせなければ貴様も同罪だぞ。静かにさせろ」
悪友がへつらうように言った。
「分かりました。静かにさせます。ですから勘弁してやって下さい。すいません」




