アルコール依存症120
「お前、度重なる人体実験で本当に狂ってしまったのか。俺から希望を削ぎ取ってそんなに面白いか?!」と行雄が悪友に向かって怒鳴った。
震えを止める為に行雄が二度深呼吸してから喚いた。
「お前、度重なる人体実験で本当に狂ってしまったのか。俺から希望を削ぎ取ってそんなに面白いか?!」
悪友が我を取り戻すようにしきりに頷き答える。
「そうだな、すまん。少なくとも俺達はお前の希望を繋ぐ為にここにいるのだからな。失言だった、勘弁してくれ」
行雄が苦しみを噛み締め独りごちるように呟いた。
「畜生、酒が飲みてえな。しかし婆さん一体何処に囚われているのだろうか…」
悪友が気をとりなすように言った。
「お前が婆さんを見たならば、この監獄の何処かに収容されているのだろう、きっと?」
行雄が答える。
「そうだな、しかし俺達も囚われの身だから、この状況だと手も足も出ないな…」
悪友が行雄を激励すべく力強く言った。
「しかしお前の見た婆さんは歩いて移動していたのだろう。それならば少なくとも婆さんは動ける自由はあるという事じゃないか?」
行雄が気色ばみ答える。
「そうだな、それを考えると少なくとも婆さんは単なる囚われの身では無いという事か…」
悪友が頷き言った。
「そうだ。婆さんはきっとお前を助け出すタイミングを見計らっているのだろう、そうに違いないさ!」




