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アルコール依存症12
唐突にジープのヘッドライトの光芒に人が飛び出し、悪友は驚き急ブレーキを掛けた。
深夜、鹿を食すべく再び二人は峠へと向かった。
ジープを運転しながら悪友が行雄に尋ねる。
「鹿を食って、どのように老人連合が訪れるのだ?」
ビールを一息に飲み干して行雄が答える。
「それは分からない」
ハンドルから片手を離し、行雄を一瞥してからおもむろに悪友が言った。
「分からないけれども、確信があるのか?」
行雄が新しい缶ビールを開けて口にしてから言った。
「そうだ。悪いか?」
悪友が一声笑い言った。
「お前の脳みそはアルコールで出来ているのか?」
行雄が微笑み答える。
「それは俺にとっては光栄な事だな。脳みそがアルコールで出来ているからこそ、俺は老人連合と遭遇するのさ」
悪友が苦笑いしてから言った。
「もういい加減に止めてくれ。こっちの頭が変になりそうだ」
そう悪友が言った瞬間、ヘッドライトの光芒に唐突に人が飛び出し、悪友は驚き反射的に急ブレーキを掛けた。




