アルコール依存症117
「そこまでして老人連合は一体俺達に何をさせたいのだ。俺の禁断症状を活用して、幻覚装置の修理補完でもしたいのか。どうなのだ?」と行雄が悪友に尋ねた。
話しの途中簡素な食事が配給され、それを瞬く間に平らげた後、行雄が悪友に向かっておもむろに尋ねる。
「こうやって食い物を食うのも老人連合の幻覚装置の為せる技だとお前は言いたいのか?」
悪友が膳の上に箸を端正に揃えて載せ、答える。
「幻覚が幻覚でないと俺達に錯覚させる為ならば、食事や排泄、その他現実と同じ生活を営ませるのは絶対必要条件だろう。違うか?」
禁断症状に苦しむ行雄が水をがぶ飲みしてから息をつき言った。
「そこまでして老人連合は一体俺達に何をさせたいのだ。俺の禁断症状を活用して、幻覚装置の修理補完でもしたいのか。どうなのだ?」
行雄の奇妙奇天烈な発想を笑い飛ばしてから悪友が答える。
「実験内容の全容が解明されていない今、そんな疑問符を差し挟んでも無意味だろう、違うか?」
震え、再び水をがぶ飲みした行雄が顔を紅潮させ怒り喚いた。
「矛盾しているじゃないか。無意味な事の連鎖でも連ねれば真相に辿り着くかもしれないと言ったのはお前じゃないか!」




