アルコール依存症116
「お前の愛しの婆さんが老人連合擁する幻覚装置であり、俺達を狐の化かしよろしく化かしているという仮定も有り得るだろう?」と悪友は言った。
悪友がいみじくも言った。
「しかし俺達は既に老人連合の幻覚装置の中にいて、その狭間を現実として受け止めているならば、お前の禁断症状の痛みも嘘の痛みとはならないか?」
行雄が震えながら答える。
「俺がお前の究極的マゾのカテゴリーに巻き込まれて、老人連合に化かされての幻覚を見ていると言うのか。この禁断症状は究極のマゾ的お前に付き合っての禁断症状なのか?」
悪友がやる瀬なく一笑してから答える。
「この局面は虚実混沌としていて、そんな仮定も有り得るだろうな。それに俺が考えるに、お前の愛しの婆さんが老人連合擁する幻覚装置であり、俺達を狐の化かしよろしく化かしているという仮定も有り得るだろう?」
行雄が禁断症状に悶えつつ答える。
「こんな幻覚的禁断症状の中で苦しむ事が俺の婆さんに対する恋愛だと、お前は言いたいのか?」
悪友が答える。
「肉体感覚を混沌にまぶしてしまうのが幻覚装置ならば、そんな心ね動きも有ったっておかしくは無いだろう、違うか?」
行雄が顔をしかめて言った。
「俺の恋愛がマゾ的幻覚ならば、俺は生きている恋愛をしているのか。それとも死んだ恋愛をしているのか、どちらなのだ?」
悪友が苦笑いしてから答える。
「仮定論をものすれば、切りがなく、どちらとも言えないだろうな…」
行雄が言った。
「死んでいようが、生きていようが、とにかく酒を飲みたいわけだ。俺としてはな」




