115/260
アルコール依存症115
「そんなのは辛抱するしか無いし、と言うか今は禁断症状どころの騒ぎじゃないだろう。俺達の命が繋かっているのだから」と悪友が行雄を諭した。
悪友が嘆息してから言った。
「もしかするとアル中が作り出す幻覚症状が奴ら老人連合に取っては有用なのかもしれないな」
行雄が震えつつ首を振り悪友の言葉を否定する。
「いや、幻覚なんかじゃない。俺は確かに婆さんを見たのだ」
悪友が行雄を指差し言った。
「でもお前は今確かに禁断症状の最中にいるじゃないか?」
行雄が顔をしかめ言った。
「しかし、あの婆さんが幻覚だとしても、お前の憶測おためごかし話しには付き合っていられないわ」
悪友が苦笑いしてから言った。
「憶測だろうが何だろうが、手をこまねいているよりは脱出出来る手掛かりを探る必要性は絶対にあるだろう、違うか?」
行雄が言った。
「まあ、それはそうだがな。いずれにしろこの禁断症状を何とかしないと俺は破滅じゃないか。そうだろう?」
悪友がやる瀬なく微笑み答える。
「そんなのは辛抱するしか無いし、と言うか今は禁断症状どころの騒ぎじゃないだろう。俺達の命が繋かっているのだから」




