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アルコール依存症11
「いや、絶対にそうなる。だから鹿を食いに行くしかないのだ!」と行雄は言った。
悪友が言う。
「支離滅裂ではないか。既にお前はアルコール依存症で幻覚を見ているのではないのか?」
行雄が力強く否定する。
「いや、俺は幻覚なんか見てはいない。現に鹿を食って店が栄えているではないか?」
悪友がせせら笑い言った。
「それとこれとは話しが別ではないか」
行雄が言い切る。
「いや、別ではない。鹿を食い続ければ必ずや老人連合に遭遇すると確信しているからこそ、俺は鹿を食ったのだ」
「だが、その婆さんが自分は老人連合の者だと言ったのか?」
「いや、そんな事は言っていないが、俺はそう確信したから鹿を食ったのだ。
だから間違いない」
悪友が高笑いしてから言った。
「確信から外れる事がお前の確信なのか?」
行雄が声を荒げ言った。
「いや、絶対にそうなる。だから鹿を食いに行くしかないのだ!」




