アルコール依存症10
「その占いと酔狂が結び付いたのが、お前の言う老人連合の実態ならば、そんなものは明らかに架空、絵空事ではないのか?」と悪友が尋ねた。
悪友が尋ねる。
「しかし何だその老人連合というのは?」
一拍置いて行雄が答える。
「何か全国の老人が隠密裡に結託して作った秘密結社で、何処かに桃源郷のような王国を持っているらしいのだ」
悪友が尋ねる。
「その項目はネットに出ていたのか?」
行雄が首を傾げ答える。
「いや、ネットには出ていない。噂だ」
「その噂、誰がもたらした噂だ?」
行雄が自信の無い声で答える。
「客とかだ」
「客?」
行雄が一つ頷き答える。
「そうだ。客の噂だ」
「酔っ払い客の酔狂か?」
行雄が首を振り答える。
「いや、酔狂では無い。噂だ…」
「その噂と何故お前の好きな婆さんとが結び付いたのだ?」
行雄が自信が失せたままの口調で答える。
「その婆さんが老人連合を占ったのさ」
「その占いと酔狂が結び付いたのが、お前の言う老人連合の実態ならば、そんなものは明らかに架空、絵空事ではないのか?」
行雄が答える。
「いや、鹿の肉を食えば必ず老人連合の奴らが出て来て、俺はあの婆さんに再び会う事が出来るのさ。それは俺の確信なんだ」
「何を根拠にしての確信なのだ?」
今度は自信満々に行雄が言った。
「アルコールがそう言っているのさ」




