新しい身体と人生
誤字や情景描写の修正しました
――――――――ピピピピピピピピ
僕は深い眠りの底から浮き上がって行く意識と共に徐々に甲高い音が聞こえてくるのを感じ、眉間にシワを寄せつつ重たい瞼を開けようと努力する。
しかし努力虚しく瞼を開けれず、僕は目を閉じたまま音の原因を探そうとてを伸ばす。
ゴソ モゾモゾ
「うぅん・・・」
(うるさい・・・。僕は眠いんだ・・・邪魔、しな・・・い)
モゾモゾと音の原因を探しているうちにまた底無しの眠気がやって来て、僕は探すのを諦めふかふかの布団と睡魔に自分の身体を委ねて、もう一度眠りの水底に落ちていく。
「なんや――薫君はおねぼぅ―――」
何処かで聞いたことのある声が聞こえてきたが、その声の正体を考える事が出来ずに意識が途切れる。
「もう・・・。薫君!起きや!」
バサァ
その声の主は掛け布団を僕からひっぺがし、僕の聖域を僕から奪った。
そうして聖域を失った僕は掛け布団の無い布団の上でモゾモゾと蠢いていると。
「薫君、身体だけや無く精神まで幼なってもうたんか?もしかしてあのせいで?・・・」
その声の主は何かぶつぶつと呟きつつ僕をヒョイと両脇を持ちながら抱えあげた。
流石に僕もここまでされたら起きざるを得なく、僕は喉を鳴らし、眠気眼を擦りつつ声の正体を確認する。
すると目の前に見覚えのある顔があった。
「ん゛ん゛・・・・・・えっと、は、かせ?」
「目ぇ覚めた?随分ぐっすりやったね」
「はい・・・もう大丈夫です。おろ、し―――ん?」
僕は少し違和感を感じ、床と博士の顔を交互に見て思考を巡らせた。
(んん?何か床が遠くないか?確か博士の方が身長は少し高かったけど、ここまで上げられたら顔が同じ位置にあるわけ無いし・・・)
そんなことを考えている僕を見ていた博士は何かを察したのか、僕をゆっくりと布団の上に降ろす。
すると博士の身長がみるみる大きくなっていった。
「は、博士何か身長大きくなってませんか?」
僕が驚きながら質問すると、博士は何処からか持って来た姿見を僕の前に置きつつ、質問に答えた。
「ちゃうちゃう、私が大きくなったんや無くて、薫君が小さくなったんやで」
置かれた姿見には何処かで見たことのある少女がいた。そしてこの少女こそが僕なのだとすぐに理解出来した。
「本当に、本当になれたんですね、女の子に・・・・夢じゃ無いんですよね?」
僕は高く幼い子供の震え声で博士に同意を求めた。
それを聞いていた博士が満足げな笑顔を浮かべゆっくりと何度も頷いていた。
それを見て僕は感極まって、ガッツポーズをしながら大声で叫んだり、ベッドの上でピョンピョンと跳ねていた。
「ヒャッフォーー!やったぜ!本当に女の子なれたんだー!」
僕は博士のが居ることなど忘れてはしゃぎ回っていた。
「あ、そうだ!折角女の子になれたんだから"あれ"をしなきゃ!」
僕はそう言いながら博士が着せてくれたであろう子供用のパジャマのズボンをおもむろに脱ぎ、自分の股を確認した。
そこには見慣れた然程逞しくない息子は無くなっていて、代わりに1本の縦筋のある可愛らしい割れ目があった。
「ふおぉぉ・・・・」
それを興味津々に見ている僕の姿を見ていた博士が苦笑いをしつつ、僕に話し掛けた。
「そこまで喜んでもらえるとやり甲斐あるわぁまぁ薫君・・・やい、もう薫ちゃんかな?嬉しいんは分かるけど、そろそろ朝御飯にしよ、お腹ペコペコやろ?」
その時。
クゥーー・・・
「 あ 」
僕は博士の言葉にお腹で返事をしてしまった。
それが余程面白かったのか博士吹き出して笑っていた。
「ブフッ!ほ、本当におるんやね、お腹で返事する子!あ、あかん・・・お腹痛い・・・」
僕は恥ずかしくなり、お腹を押さえながら早く食卓に案内するよう博士を急かした。
「ウググ・・・そんなに笑わなくても良いじゃないですか!は、早く朝御飯を食べましょうよ!何処なんですか?」
「ごめんごめん、はぁ・・・笑ったわぁ、ほな行こか、ちゃんと歩ける?」
「は、はい」
僕は慎重にベッドから降りた。まだ新しい身体に慣れてないのか降りた時にバランスが取れずぐらついたので、バランスを取る様に少し両手を広げて立った。
「お、おっととと・・・ふぅ」
「うん、大丈夫そうやね。じゃあ行こか」
博士が扉を開けながらこちらを見てまた満足げに笑っていた。
(これが僕の新しい身体の、女の子の身体での第一歩だ!)
僕は心中でそう呟きつつ、新しい身体と人生の第一歩を踏み出すのだった。
――――――――――――その直後。
記念すべき第二歩目で足を絡ませ、エボォ初号機ばりのずっこけをかまし、また博士に腹を抱えながら笑われたのは僕と博士の秘密である・・・。
やったー!薫君が薫ちゃんになったー!
やっと話が進みますね。本当にお待たせして申し訳無い・・・
えー、次回ですが真ヒロイン登場!・・・かも?
博士「まるで私が偽ヒロインみたいないいかたやね、まぁええけど」
そんなことありません!私は博士が一番のヒロインだと思ってますよ!本当に!
えー、という訳で次回もお楽しみに!