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第4話 勇者とメロンと希にまな板

「レーオー!!」


「なんだよっ!!というか、なんでお前がここにいるんだ!」


ここは西の国の首都、『トゥールリアズ』の街の中心部にあるレストラン。


今日の昼過ぎにこの街へやって来た僕とクーリは、「色々と」あった1日の終わりに夕食を食べに来ていたんだけど………


「本当にどうしてその『色々と』の元凶がここにいるのさ……」


「?、?よくわかんないけど、レオに会いに来ちゃったー♡」


語尾にハートマークでもついてそうな事を言って僕に飛びかかってくる、本日の疲労の元凶こと、『リリス』の頭を手のひらで掴んでギリギリと締める。


「あたたたたたたた!!いたい!いたいって!こうさんしますぅー!!」


涙目になってるので放してあげた。痛そうに頭をさすっている。まったく……


「とかいいつつお前反省しないもんな……」


「そんなことないよー!」


「言動が一致してないから!!」


またもや満面の笑で飛び掛ってきたのでもう一度頭を締める。


「ぎゃーーー!!いーたーいー!ごめんってばー!!」


「あ、あの、レオさん、他のお客さんの御迷惑になりますよ………?」


「あ、ああ、ごめんごめん」


お店中の人の視線が痛い。しょうがなく放してやった。


「むうぅ、あいかわらずキレがいいね!」


「褒められてもあんまり嬉しくないんだけど……」


「あ、あの!リリスさんも夕食を食べにいらしたんですか……」


「んー?まぁそうだねー!あと、このおみせからレオのにおいがしたからー!!」


「どんな鼻だよっ!?」


「レオがどんなとおくにいてもにおいでばしょをさがすよっ!今ならたったの1まんユーリス!!」


「買います!」


「そんな鼻があるかっ!!あとクーリも財布出さない!」


クーリは、お父さんに貰ったらしい、なんちゃらかんちゃらのモンスターの革で出来た財布を引っ張り出して、僕があげたなけなしのお金を出そうとしてしょんぼりしている。


「えぇ、欲しいです…」


「なぜ………」


「ねえねえ!わたしもいっしょにごはんたべてもいい?おなかぺこぺこだよぉー」


「はぁ……好きにしてよ」


「んふふ、じゃたべよー!」


そう言って僕の隣に腰を下ろす。

その瞬間、クーリの表情が固まる。わお、見事に石膏。


「あ、あの〜?近くないですか?リリスさん」


「えーー?そんなことないとおもうなー」


いや近いよ、肩と肩が触れ合うとかそんなんじゃないよ、てか密着するな膝に乗ろうとするな抱きつくな!!


「ち、ちちちちちち近すぎます!!もっと離れてください!!というか、レオさんも何鼻伸ばしてるんですか!おっぱいがそんなに好きですか!?」


「何で僕までー!?」


「いーじゃんいーじゃん!せっかくひさしぶりにあえたんだからさぁー!!いっしょがいーいー!!」


ワイワイガチャガチャブーブー


「いい加減にしろっ!!………まったく、クーリも落ち着いて、それからリリス、お前も早く離れろ、暑い。」


「なんかわたしだけつめたくなーい?」


「気のせいだよ、とりあえずリリスはクーリの隣!」


「えぇー、ブーブー」


「ほら、早く」


「はぁーい……」


しぶしぶといった感じで僕から離れてクーリの隣に座るリリス。


「ほら、早くメニュー決めちゃおうよ」


「「はーい」」


店員さんにメニューを頼み終わったら、クーリが口を開いた。


「あの!…レオさんとリリスさんって、どういったご関係なんですか……?」


「あぁ、さっきも言ったけど、こいつとは騎士学校時代の同級生なんだ、6年間ずっとパーティーが同じだったんだよ」


「せきもちかかったしねー!」


「近かったというか隣だったじゃないか……毎回毎回授業中うるさくて大変だったよ……そのうえ悪戯の常習犯だし…」


「ええ!そうだったんですか!?……リリスさんって背も高くてキリッとしてておっぱいがボーンなのに、なんだか子供みたいですね…」


「こいつの場合は『みたい』じゃなくて正真正銘ただの子供だよ。何回巻き込まれて一緒にボイラー先生に怒られたことか……」


「あはは!たのしかったねー!」


「どこがだよっ!?……あれだけ怒られててよくお前卒業できたね……」


「ひっきしけんはいつもまんてんだったもーん!……じつぎはだめだめだったけど…」


「よくそれで騎士団長できるよね……」


「あ、あははー、ま、まあねー」


なぜか目をそらすリリス。いつも筆記試験でヒィヒィ言ってた僕からすれば、不思議でしょうがない。


「あ、そーいえば!クーリちゃんってどこのくにのひとなのー?かみのけむらさきだし、めもあかいし…」


「ああ、私は西のまぞ…」


「わー!わー!!」


僕は慌ててクーリの口を塞ぐ。


「(クーリ!魔族だってことは黙ってた方がいいって!しかももし魔王だなんてことがバレたら……)」


「(モガモガ………わぷっ、わ、わかりました、気をつけます…)」


「??、???」


「あ、あぁ!クーリ!『にしのマゾ』ってところから来たんだよねー!!ね!!」


「にしのまぞ……?クーリちゃんってまぞなの!?いたいのうれしいの!?」


「そ、そんなわけないじゃないですか!い、いたって普通です!」


むしろ魔王ならドSのような気がしなくもないけど。


「と、とにかく!クーリはちょっと遠いところから来たんだよ……ハハ、ハハハ」


「ふぅーん?まぁいいけど。………あ!そーそー!2人に言わなきゃと思ってたことがあって『おまたせしました、こちらサーモンとバジルのテリーヌと、ポトフと、ウルトラスーパー超デカ盛りキングサイズステーキ~銀河の煌めき~でございます。』」


ドンっっっっ!!!!


目の前に置かれた『ブツ』は、大きいなんてものじゃなかった。

とにかくデカイ。デカすぎる。お陰で僕たちの料理が下敷きになってしまった。おいウェーター、皿の置き方考えなよ。

というか机からもはみ出てる。四人用の机だよ……?


こんな肉どこから取れるのさ、ていうかなんの肉!?


「わあああー!!おいしそーーう!!じゅるり。」


そんな人間の食べ物の領域を超えたものを目の前にしてキラキラと顔が輝いてるリリス。

そういえばこいつものっすごい大食いだった……学校の大食い選手権で優勝しまくってたよなぁ……


「う、うわぁ……」


さすがのクーリも引いている。そりゃあ自分より巨大なステーキなんて見たこと無いだろう。僕も無い。


「いっただっきまーーす!!!ばくばくもぐもぐむしゃむしゃ」


十分後、皿の上にあったステーキは全てリリスのお腹に収まっていた。


「ふいいぃぃ、たべたたべたー!」


「は、はやい……」


「う、うわぁ………」


2人とも引いちゃったよもう。


「ふたりともたべないのー?」


「あ、あぁ、食べるよってなんじゃこりゃー!?」


さっきのステーキの下敷きになってたおかげで、僕のテリーヌはさらにペッタンコだし、ポトフも潰れてしまっている。


「う、うわぁ………」


クーリさっきから「う、うわぁ………」しか言えなくなっちゃってるよ!?


「見事なまでにペッタンコだな……」


「なははは、ごめんねー、ペッタンコにしちゃって」


「笑い事じゃないわっ!!もーテリーヌがまな板みたいになっちゃってるy『ペッタンコペッタンコうるさいです!!!!』……え」


「そんなにペッタンコ嫌ですか!?まな板じゃダメですか!?大きければいいんですか!?ちっちゃくて何が悪いんですか!!平らなままたべればいいじゃないでずがぁ!うわーん!」


物凄い勢いでなきながらペッタン「ペッタンコじゃないです!」………潰れたポトフを食べるクーリ。何が彼女をそんなに怒らせたんだろうか……


「あ、あははー、なんかごめんね『リリス様ー!』あれ?ふくきしだんちょう?」


「何をしているんですか!職務中ですよ!ちゃんとお仕事終わってからにして下さらないと困ります!」


肩をいからせて僕達が座っている窓側の席へとやって来る黒いショートポニーテールの女性。


「だあってー!」


「だっても何もありません!!ほら、行きますよ!!」


「うーわー!つーれーさーらーれーるー!」


「ちゃんと歩いてください!!」


副騎士団長?に襟を掴まれて引きずられていくリリスを僕たちはポカーンとして見送った………本当に騒がしい奴だな……


「と、とりあえず、ご飯食べましょうか……」


「そ、そうだね…」


微妙な空気の中ご飯を食べるのであった。



その夜。

「ええ!?1つしか部屋がないんですか!?」


「すいません……収穫祭が近づいてきていて、どこの部屋も一杯でして……」


僕たちはしばらくの間滞在するための宿を探していたんだけど………どこも満室で、ようやく空きがある宿を見つけたんだけど……


「一人部屋はまずいよなぁ……」


なんてったって、年頃の男女が二人だ。さすがに同室はまずくない?


………そういえばクーリって何歳なんだろう。


「しょ、しょうがないですよ!レオさん!と、ととととりあえずこの部屋にしましょう!?ね!?」


「わ、わかったよ…」


物凄い気迫におされて決めたわけなんだけど……






ザバーッ



今クーリがお風呂に入ってるわけで…この一人の時間が異様に緊張する……なんでだろう


ガチャ


で、出てきた……


「お待たせしましたレオさん!次、どうぞー」


ドキィッ!!

お風呂から出てきたクーリは………とにかく凄かった。

体に巻いてるタオルは、長さが足りないのか、健康的な素足がギリギリまで見えてしまっている。

長い髪の毛からはまだ若干雫が滴り………鎖骨を流れて非常に色っぽい。


アカン、これ以上見てたら鼻から出血しそうだ……顔が赤いのは夜でも暑いからだ。そうに違いないうんそうだ。


「う、ううううん!入ってくるねーー!!!」


なるべくクーリを見ないように風呂場へ走るのであった……


そして一番危ない夜が来てしまった。


「ひゃあんっ!……もう、レオさん、そんなところ触らないでくださいよぅ……」


「ご、ごごごごごごめん!」


お風呂からあがっていざ寝ることになったのまでは良かった。でも、ソファーで寝るっていう僕の主張を

「風邪ひいたらダメですから!!!!」

の一本で貫き通され、一緒のベッドに寝ることに。


そのベッドも、一人用なので二人で寝ると結構狭い。

どうしても体が密着してしまうわけで………


お互い反対側を向いてるけど、目をつむるとクーリのほのかな暖かさを意識してしまって全然眠れない。


クーリも落ち着きなくもぞもぞと動いてるけど、そのたんびに柔らかな感触が………


何か話でもして気を紛らわそう。


「クーリ?」


「は、はい!な、なんでしょうか…!」


「その……クーリが住んでいた魔界って、どんなところだったの……?」


「魔界……ですか。……私の住んでた国は、割と平和でした…小さい国でしたけど、春になれば毒桜が満開で綺麗ですし、夏はしゃれこうべスイカが冷たくて美味しかったです…秋は数え切れないほど食べ物があって……冬は寂しいですけど、暖炉で丸くなって寝ているのはとても気持ちの良いものでした…。」


「そうなんだ…良いところなんだね」


「はい、それはもう……なにより、お父さんがいましたから…」


クーリのお父さん。前魔王で、魔界の独立戦争の際に巻き込まれて亡くなった……って聞いたけど……


「お父さんは、とっても優しかったです。私が生まれてすぐにお母さんが死んじゃって……お仕事忙しいのに、いつも笑顔で遊んでくれてました…」


魔王が笑顔で子供と遊ぶ………子供の頃から読んだり聞いたりしていた魔王像がガラガラと崩れていくのがわかった。


「い、良いお父さんだね…僕の両親は北の国生まれなんだけど、今は西の国の東で農作業『とか』してるよ」


「と、とか……ですか」


「まぁ、色々あるんだろうね、色々。」


「お父さんとお母さんのこと、好きですか?」


「う……そりゃあ、ちょっと変なところもあるけど………うん、好きだよ」


「そう……………ですか………」


クーリの返事はとても小さいもので、今にも寝てしまいそうだった


「おやすみ、クーリ」


「……はい、おやすみなさい、レオさん……」


やがて隣から静かな寝息が聞こえてくる……が、僕は当然寝付けず、時間は1時間、2時間と過ぎていって……


「…………ぐすっ………お父さん…………」


ふと隣りを見ると、クーリは夢でも見ているのか、寝言で「お父さん」とすすり泣いている。

そうだよね、お父さんを亡くして独りぼっちだったんだ。悲しいし、辛かったんだろうな。


「大丈夫…大丈夫だから……」


そういって、クーリがまた静かに眠れるまで、僕はクーリの頭をずっと撫でていた………



To be continue………


いかがでしたか?


いざ自分で小説を書こうとすると、たとえ書き上げても、「これでいいのかなぁ」だとか、「あー!やっぱりこっちの話の方が面白いのかも!?」とか、全然進まないことに気付かされました


やっぱり本として出している方々の文章を拝見すると、勉強にもなりますが、尊敬します。


長くなりましたが、次話で遂に事件発生!?

どうなる作者の表現力!!


(汗)


ご意見、ご感想は常に受け付けてます!

どうぞお気軽に。それでは

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