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第3話 勇者とおっぱいと稀におっぱい

とまぁ、そういうこと(前話参照)があって、僕たちは魔界か


ら、人間界と魔界の境界近くの村へ戻って来たのは良かったん

だけど……


「まさかいきなり魔王とたたかうことになるなんてなぁ………そんな『勇者と魔王』みたいなの、本でしか読んだことないよ……」


「でもすごくかっこよかったですよ!レオさんって人間さんなのに強いんですねー!」


そう言って目をキラキラさせてるこの女の子はクーリ。


現魔王なんだけど、訳あって僕たちは一緒に旅をすることに。


ちっこい体に綺麗な赤みがかった紫の髪が腰より長く伸びてい

る。正真正銘、千人の男女が振り返る美少女だ。


「あはは、ありがとう。でも僕なんてまだまだ弱いよ。実技成績はいっつも2番だったから…」


よせやい。そんなに褒められたら照れるだろう、もう。もっと言って。


「ところで、これからどうしましょう……私、人間界に来たこと無くって…よく分からないのですが…」

                   

「とりあえず、大きな街へ行けば、『魔法岩』のことについて何かわかるかもしれないから……よし、とりあえず『トゥールリアズ』へ行こう。」


『トゥールリアズ』とは、西の国の首都で、重要な政府機関は

勿論のこと、王立図書館やカフェも多い。情報が一番流れてい

るのは間違いない。


ちなみに僕が『あの』外務大臣とあった宮殿があるのも、

『トゥールリアズ』なんだよね。


「わかりました、ではそこに行きましょう!」


「ちょちょちょ、ちょっと待って待って!」


「へ?」


「その格好で行くのはまずいから!目立ちすぎだよ!」


今クーリが来ているのは、魔王らしい非常に厳つい鎧だった。


歩く度にガチャガチャ鳴るし、肩から突き出た角の飾りが刺さ

りそうだ。


「そ、そうなんでしょうか。割と地味なほうだと思うのですが…他の国の魔王さんたちはもっと派手だったので…」


これ以上派手ってそりゃどーゆーこっちゃ


「とにかく!人間界を魔族がうろつくことすら良くないんだ、極力目立たないようにしなきゃ。……たしか村の市場の近くに洋服屋があったはずだから、そこで適当な物を見繕って買おう。」


「そうですね、わかりました!行きましょう!」





と、いうわけで村の中心の洋服屋に来たわけなんだけど……


「あ、あの、レオさん、この服似合ってますか?」


さっきも言ったけど、クーリは物凄い美少女だ。


そんな子は何を着ても映える映える。目が養分取り過ぎてクラクラする。クーリが今試着しているのは、水色の柔らかそうな素材のワンピースのような、可愛らしくも美しいものだった。


クーリの紫の髪とマッチしているし、夏物ならではの肩や腕、短いスカートから覗く太ももが眩しい。刺激強いなぁ……


「う、うん、とっても似合ってるよ……」


お陰で声が上擦ってしまうし、顔も熱い。きっと夏だからだ。


そうだ。そうに決まってる。


「ホントですか!私もこのお洋服可愛いなぁって思ったんですよ!……レオさんも可愛いって言ってくれましたし……このお洋服ください!」


途中ちょっと聞こえなかったが、どうやらクーリも満足しているようだ。良かった良かった


「うふふ、ふふふふふ」


店の外に出ても、クーリはずっと上機嫌で、買って着たばかりの洋服を摘んだり、くるくる回ったりしている


それすらも1枚の絵画のように綺麗なので、さっきから道を歩く人が熱っぽい目でクーリを見ていて……そして居心地悪い僕。


「レオさんレオさん!この服可愛いですか?」


「ああ、可愛いよ、よく似合ってる」


苦笑混じりに答える。本当に気に入ってるみたいでさっきからそればっかりだ

しかしまぁ、喜んでくれているならいいか、でも男を中心に僕に殺意の目が向けられるのは生きた心地がしない。


ここから早く去るべし!!


「さ、さて、トゥールリアズに行くわけだけど……ちょっと遠いし、機関車で行ってみようか」


「キカンシャ……?なんですか、それ?」


「ああ、最近出来たばかりの乗り物でね、何でも石炭で動くんだってさ。僕は詳しく分からないけど、何日もかかる遠いところでも、数時間で行けるらしいよ」


「ほえぇ、なんだか凄そうですね……私は馬車かドラゴンにしか乗ったこと無いです。楽しみですね!」


「ドラゴンかぁ…懐かしいなぁ…最近は数減ってるみたいだけど……」


「そうなんですよね……どうしたんでしょうか」


「ま、とにかく機関車乗ろう!駅までちょっと歩くけどね」



とはいったものの、クーリと談笑しているて、あっという間に村から数キロ先にある駅へと着いた。


最近出来たばかりのホームは木造でちょっと小さめだ。


でも人は結構いる。便利になったからかなぁ

「お、ちょうど良かったね、もう来たよ」


駅に着くとすぐ向こうから、轟轟と音を立て、真っ黒な煙を吐きながら巨大な鉄の塊が近づいてくる


「うわぁ!うわぁ!凄いです!かっこいいです!」


クーリはすっかり興奮して顔が紅潮している。



その様子はまるで小さな子供のようだ


「さ、乗ろうか」


客車の中に入って、四人がけで向かい合わせの木のベンチに腰掛ける。



僕の前にクーリが座っているのだけど、さっきから身を乗り出

さんばかりに外の景色を食い入いるように見ている


「ふわぁ〜!気持ちいいです!機関車って速いですね!」


風でクーリの綺麗な髪が揺れて、甘い匂いが鼻をくすぐる。


僕もボーっと景色を眺めていたら、誰かに声をかけられた。


「ねえねえ、キミキミ」


「えっと……僕でしょうか」


「うんうん、キミ。」


そう僕を呼んだのは、探検家のような格好をした、栗色のショートカットの女の子だった。


人懐っこそうなクリッとした目が特徴の、それでいて大人びた雰囲気の不思議な人だった。


「キミさ、これからトゥールリアズに行くんだよね?」


「ええ、まぁそうですけど……」


「ふぅん、そうなんだー」


一体なんなんだ?


「ううん、ごめん、なんでもない、邪魔してごめんね、バイバイ」


そう言うと女の子はさっさと別の号車へと移ってしまった


「い、一体なんだったんでしょうかね…」


「さあ」


てんで検討が付かない。もしかしてあの子は突発性人に行き先を聞いて自分は何も言わない症候群か何かなのかな?ちなみにその病名は今僕が考えた。


「あ、そろそろ着くみたいだね」


「ええー、もうですか!もうちょっと楽しんでいたかったです…」


「あはは、気に入ったんだ。また乗れるよ」


「ホントですか!楽しみです」


そしてトゥールリアズ駅に着いた。


さすが首都の駅。駅の作りも大きさも全然違う。まずレンガで出来ているし、ステンドグラスや絵画も飾ってあって協会みたいだ。中にあるお店にはカフェや洋服屋、床屋に菓子屋まであって、人の賑わいが凄い。


「はわわわわ、人間さんがこんなにたくさん……あう!すみません……」


クーリは怯えてしまっていて、さっきから色んな人にぶつかっている。僕の後ろをついていくので精一杯のようだ


「ほら、クーリ、手」


「ふぇ?」


「繋いでないと迷子になっちゃうよ?ほら」


「は、はははははい!!やったー」


クーリは顔を真っ赤にさせ何かボソッと呟くと僕の手をしっかりと握る。


ちっちゃくてあったかい手で、オラなんだかドキドキしてきたぞ……


人並みに揉まれつつつもなんとか二人で駅の外へと出た。


「ふわぁー!!こ、これは凄い…です…」


さすがは西の国最大の首都。レンガ製の、駅よりさらに高い建物が並び、人々の喧騒が、馬車の走る音が、まるで街全体が生きているようだ。

僕の実家の田舎とはやっぱり違うなぁ……




「うーん、とりあえず近くの公園で一休みしようか、機関車乗ってたらちょっと酔っちゃった……うぷ」


実は僕、あんまり乗り物が好きではない。馬車でもドラゴンでも、酔ってしまうのだ。もちろん機関車だって例外じゃない。


それでも今回機関車乗りを推したのは、一度乗ってみたかったからさ!やめておけばよかったと反省してる。


「だ、大丈夫ですか?」


クーリが僕の手を握ったまま、背中をさすってくれてる。


「うう、ありがと……」


クーリに支えられ、公園に着くと、僕は芝生の上でゴロンと横になる。

クーリは僕の隣に腰を下ろして、一息ついた。

「はぁ、気持ちいいですね」


「そうだね、ちょっと暑いけど」



季節は初夏。さすがにもう暑い。

でも、芝生のチクチクがたまらなく気持ちいい


おっと?向こう何か騒いでるな……


「おーい、なんか王立騎士団が来てるらしいぜ」


「おお!マジかよ!てことはリリス様も?」


「既に見物人でいっぱいだ、急げ急げ!」


「キャー!リリス様よリリス様!今日もお美しいわぁ……」


「踏んでください!!!」


踏んで欲しいってそんなサービスを騎士団やってるんだ……って、ん?


「リリス……騎士団…………はて、どこかで聞いたような…まさかっ!」



僕は慌てて飛び起き、見物人で溢れかえってる公園の外に走って行く。


「はわわ、待ってください〜!」


クーリもパタパタ走って追いかけてくる。


その場所につくと、凄まじい熱気だった。


「「「リリス様ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」」」


「な、なんじゃこりゃ……」


「うわぁ………」


僕もクーリもすっかり固まってしまった。騎士団にこんなファンクラブみたいなものが出来るとは……


「あ、そうだ、どこにいるんだ」


少し背伸びしてみると、やや向こう側に白い馬に跨った女の子の姿が。


人混みをかき分けて、その子へと近づいてみる。


金色の長いポニーテールに、ややつり目気味の蒼い双眼。甲冑の上からでも充分にわかる大きな胸と、くびれた腰。足もスラっと長く、全身から気品とオーラに溢れている

まさしくクールビューティの典型だなぁ


と、ここまで見ると非常に綺麗な子なのではあるが……僕はこの子のことを知っている。


「あれ?」


どうやら女の子は僕に気づいたみたい……嫌な予感。体中からイヤーな汁が……


「わー!レオだ!レオがいる!わーい!ひさしぶりー!!!」


元気良く叫ぶと馬からおり、猛スピードで僕の元へ走ってきて……


「ちょ、おま、ストップ!!」


「てーい!」


ダキっ!!


「ぐぇ」


思いっきり抱きつかれた。か、甲冑が当たって凄く痛い…


「ううう、会いたかったよーー!!!レオーー!!」


今度は僕の胸で号泣し始める始末。アカン、周りの殺気が………

そこの男の人!なんで大根振りかざしてるのさっ!


「ちょ、リリス、お前離れろって『レオさん?』………はい?」


リリスを引きはがそうとしていたら、隣から氷点下よりも冷たい声が……


ギギギ……

ゆっくり振り返ると、そこには魔王のような形相をしたクーリが……ようなじゃなくて魔王本人でしたね。


「レオさん……?その方は一体誰なんですか………?」


「こ、こいつは騎士学校時代の同級せ『レオのお嫁さん!!』そうそう、僕の嫁……っては!?リリス何を言ってるんだお前!!『……レ、オ、さ、ん?』はいっ!!」


まずい、周りの目より何より目の前のクーリが一番怖い……さすが魔王。威厳が違うなぁ……漏れそうだ


「な、な、な、なんなんですかそのおっぱいはーー!!!!!」


「そこかよっ!!!」


「酷いです!!そんなおっぱいがいいんですか!?おっぱいデカいのが良いんですが!?どうせ垂れる運命のデカイおっぱいが!?おっぱいがでかくて何かいいことあるんですか!」


「おっぱいおっぱい連呼するなよっ!!」


「うううう、クーリさんはおっぱいでっかい方がいいんですね!!もう知りません!!プイッ!!」


そう言ってクーリは顔をまっかにさせ、怒り心頭といった感じでスタスタ歩いていってしまった。


「わあああ、待ってクーリ!!」


おかしい、魔王と勇者の冒険なのに修羅場が……


「あいたかったー!!!」


おいこら誰のせいだとっ……


こいつは「リリス」僕と一緒の騎士学校の同級生。

昔っから変わらなくて、どこまでも子供っぽい。騎士学校時代は悪戯悪ふざけは日常茶飯事で、僕も何度も巻き込まれた苦ーい記憶がある。


「わたしねわたしね!きしだんちょう?になったんだー!すごいでしょ、ほめてほめて!!」


こんな感じで大変子供っぽい会話をするやつだ。しかし騎士団長を務めるなんて……


「はぁ、たしかに凄いな、まぁお前、昔から指揮とか統率力あったもんな」


「わーい!ほめられたー!!ね、ね、ところでいまからごはんたべない?わたしおなかすいちゃって…」


「おいおい、今は職務中じゃないのか?」


「むー、かたいこといわないでよー、いいじゃん、わたしきしだんちょうなんだし。」


「こら」


「あいたっ!なぐらないでよー!」


「うるさい、あと職権濫用甚だしい!!それから僕はお前のせいであらぬ誤解をしたのを追い掛けて説明しなきゃいけないんだから!」


「あー!さっきのこ?あのこかのじょなの!?」


何故か泣きそうな顔になるリリス。


「あのな、そんなわけないだろ、まぁ今のところパートナーみたいなもんだ」


「むー、むー!ずるい!なんかずるいよ!」


今度はほっぺ膨らましてプンスカしてるし…ホントに子供か!


「何がだよ……とりあえず僕はクーリ探してくるから!それじゃあね!!」


これ以上拉致があかないのでそそくさと逃げる。

というか、そろそろ周りの人に殺されそうだった。


「むー、せっかくひさしぶりにあったのに……で………なのかなぁ、やっぱり」


まだ何か言ってるのかもしれないけどよく聞こえない。




とりあえずさっきいた場所に戻ってみると……いた。膝を抱えて目を真っ赤にしている。


「あ、あのー、クーリさん?」


「ふーん!です」


「えっと、さっきはごめんって……あいつはただの同級生で…」


「でもおっぱいでした!!!」


「ごめん、言ってる意味がわからない。」


「とにかく、レオさん鼻の下伸びてました!さっきそこで売ってる白い甘いのより伸びてました!!!」


なんだろう、トルコアイスだろうか、そんなに伸びてたかな


「ホントにごめんって、あいつとは特に何もないから……」


しかしなんで僕もこんな必死なんだ?

とりあえずトルコアイスを買ってあげると、クーリは乱暴に一口食べる


「ふわぁ、おいひいでふぅ……はっ!ま、まあいいです、今回は許してあげましょう」


「なんかすいませんでした……」


機嫌やや良くなったみたいだ。ふううぅ。

今のうちに話題を変えよう。


「さて、今晩泊まる宿でも探そうか……そろそろ夕方だ。」


「そうですね……お腹もすきましたぁ……」


「じゃあ先にレストランで食事済ませようか……」


僕たちは、街の外れにある少しばかり洒落たレストランへと来ていた。

日はとっくに沈んでしまったけれど、未だ店内は沢山の人で賑わっている。


さて、ご飯食べて、さっさと宿見つけて、今日を終わらせよう!!


「おーい!レーオー!!」


フラグ回収はやいな………1日終わらせてよ



「きぐうだね!あいたかったよっ!♡」


「嘘つけーー!!!」

To be continue……









と、いうわけでやっと本命新キャラ登場。


リリスちゃん!!!覚えてあげてください。


さて、まだまだ物語は始まったばかり。これからですよ!これから!!


ご意見、ご感想お待ちしております。


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