表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

麦わら帽子

作者: くろっきぃ
掲載日:2026/06/13

2年前に買った麦わら帽子

強い日差しを避けるため

まさか本当に、これが必要な街に暮らすなんて

あの頃の私は思いもしなかった


小学生の頃 欲しかったのは

赤いリボンがついた麦わら帽子

アンに憧れた、あの頃の私

親にせがんでも

「そんなもの、何に使うの。必要ないでしょう」

そう一蹴されて終わった


北の地の、あの薄い陽射しの中では

帽子をかぶる生活なんて、どこにもなかったから

母の言葉も、今なら少しだけわかる

けれど私が欲しかったのは「役目」じゃない

アンになりたかったのだ


もし今、我が子に同じことを言われたら

「もっと日よけになる帽子にしなさい」なんて

実用性を勧めてしまうかもしれない

そう、今の私には、帽子が必要だから


それでも帽子をかぶれば、空想がはじまる

花を挿して日曜学校へ出向いたアンのように

長いリボンをなびかせて、私はお迎えへと向かう

ふさわしいかどうかより、胸に小さな遊び心を


アンがキャメロットの小百合姫になりきったように

私もそっと、なりきってみる

目深にかぶり直した帽子の下

静かに微笑む私の顔を、誰も知らない


アンが帽子の両端を引っ張って顔を隠した、あの仕草

真似をして、きらめく陽の光を遮る

帽子を帽子として使う正しい使い方


私がずっと欲しかった麦わら帽子

あの頃 夢見た使い方とは違うけれど

いま、私の頭上で、夏の日差しに耐えながら

少しの空想と少しの現実のはざまに生きている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ