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決着

 大夢はマンションの奥の部屋にいるところを無事保護された。何かをされたようで衰弱は激しかったが命に別状はなかった。

 残念ながら保科は殉職し、リーも死んでいた。

 当然のことながら、保科と冷泉の単独行動に非難が集まる。冷泉は大夢の命を優先したためだというが、警察内に聞き入れる人間は少なかった。ただ、事件の全貌については冷泉の報告に頼るしかなかった。

 そして鄧伟トウウェイに対する取り調べが始まる。さすがに諜報員だけあって事件については何も話さない。わからない、知らないの一点張りである。捜査一課のベテラン捜査員の連日の取り調べに対しても、雑談には応じるものの事件の本質には全く触れようとしなかった。


 そんな中、冷泉は保科の葬儀に参列する。

 保科の自宅は松戸にあった。式はその近くの斎場でおこなわれた。

 参列者の仕事も考慮したのか、18時から始まる。じっとりする雰囲気の中、礼服で参列するも冷泉は汗もかかない。身体の芯が冷えている。

 さすがに現職の警察官の葬儀である。参列者もそこに飾られる花や花輪も豪華なものだった。喪主は保科夫人で、保科が40歳そこそこで彼女も同年代に見える。ただ、顔からは心労がうかがえる。彼女の後ろには男の子が二人、じっと座っている。二人とも小学生に見える。

 保科はこの家庭を守らなければならなかったのだ。冷泉に去来するのは後悔の念しかない。

 焼香を終え、式も終了し、帰ろうとしていたところを呼び止められる。

 振り返ると夫人がいた。

「冷泉さんですか?」

「はい、この度は申しわけありませんでした」先ほど霊前でも言った言葉を繰り返す。

 夫人はそれには答えず。「保科がいつも言っていました」冷泉をじっと見つめる。「いい部下が出来たって、貴方に任せれば自分は安泰だって」

「そんなことはありません。まだまだ保科さんに教えてもらわなければならないことだらけだったのに」冷泉の頬を涙が流れる。

「ご存じだと思いますけど、保科は出世は二の次で、事件を解決することだけを本望にするような人間です。刑事は天職だと思っていたようです。こんな結果になってしまいましたが、本人は満足だったのかもしれません」

 冷泉は何も言えない。

「保科から預かっていたものがあります」そう言って何か手帳のようなものを出す。冷泉ははっとする。いつも保科がしたためていたメモ帳だ。

「冗談で言っていたのですが、自分に何かあったら貴方に渡してくれとのことです」

 冷泉はその手帳を受け取る。いつも聞き込みや事あるごとに書いていたものだ。中身を見たことは無い。

「いただきます」

「こんな手帳が段ボール一杯になるほどあります」

「奥様、もしよろしければそれも私にいただけますか?」

「え、要りますか?」

「はい、是非お願いします」

「そうですか、後で冷泉さんのご自宅まで送るようにします」

「ありがとうございます」

「そんな刑事がいたことをたまには思い出してあげてください」

「一生忘れません」冷泉は歯を喰いしばる。

「ありがとう」夫人が冷泉に礼をし、別の参列者の所に向かう。

 一生忘れない。そして保科の想いは自分が繋いでいく。


 トウの取り調べは2週間を経過するも一向に進展しない。事件の当事者で生き残っているのはトウだけなのである。よって事件の全貌は彼にしかわからない。さらに証拠の類が極端に少なく、トウと事件を明確に結びつけるものは皆無といっていい状況だった。

 捜査本部は一向に解決しない事件にやきもきするしかなかった。

 そんな状況もあってか、冷泉の要望が通る。彼女が熱望していたのはトウへの取り調べである。清水を通じて上に掛け合ってもらった。一日だけという条件での実施となる。


 取調室の前で冷泉が息を整える。彼女には保科が付いている。

 ドアを開けると、トウがいた。

 現場でも見たが、年齢は66歳、見た感じはもう少し若く見える。白髪頭で度の強い眼鏡を掛けている。冷泉を見ると口をゆがめるように笑う。

「とうとう女まで出してくるか」

 冷泉がトウに対峙し前席に座る。

「本日の取り調べを担当します。冷泉三有です」

 トウはそれには答えない。相変わらず不敵に笑う。

「私に与えられた時間は本日のみです。ですから単刀直入に進めます」トウが冷泉の話に興味を示す。「私と勝負しませんか?」

「勝負?」

「ええ、もしこれから言う話が、あなたの目論見どうりであれば私の勝ちです。貴方はそれを認めてください」

「もし違っていたらどうするんだ」

「貴方の勝ちです」

「ふん、私への見返りはなんだ。勝ったら自由にしてくれるのか?」

「名誉です。元々貴方はそれを目指していたのではないですか」

「名誉だと」

「中国人の優位性を示す名誉です」

 初めて笑みのような表情を見せる。「ふん、なるほど、君は今までの連中とは違うようだな。まあ、いいだろう、暇つぶしだ」

「同意いただけたということで始めさせていただきます」

 冷泉は臨戦態勢に入る。彼女の手元には保科メモと自身の資料がある。

「貴方の経歴です。貴方は10年前に来日しました。肩書は台湾出身の鄧伟トウウェイ教授としてです。星天大学に確認したところ、台北の大学からの推薦があったそうです。どうやって台北の大学教授になったのかはわかりませんが、事実がそうなっています」

 トウは無言でじっと冷泉を眺める。まるで研究者が実験動物を見るかのようだ。

「専攻は遺伝子工学です。大学での研究成果は問題ないというか素晴らしいものだと思います。数点、貴方の論文も読ませていただきました」

「君にわかるのか?」

「完全に理解できるかということでしたら、それは無理です」

「まあ、そうだろうな」

「ただ、ある程度は理解できたと自負しています。話を戻します。大学で研究、さらには成果もあげていることで貴方は疑われることもなく、日本に順応します。公安も貴方はノーマークだったそうです」

 トウは肯定も否定もしない。

「そしていよいよ行動に移します。本来の目的です」

「それは何だ?」

「はい、順番に話をします。貴方は行動に移す前にある人間を来日させる必要があった。それが李沐宸リームーチェンです。彼女は貴方に替わって様々な工作を行うためのいわば実行部隊です。リーは台湾出身ですが、おそらくこれも偽装でしょう。これについては台湾政府に確認中です。何らかの方法で台湾に潜り込んだものと思います。元々中国本土の諜報員です」

 トウは相変わらず平然としている。

「そしてリーを来日させるのに都合のいいことが起きます。これは推測ですが、貴方も予期していないことだったのかと思います。リーは歌唱に特殊能力を持っていました。そして時期を見て来日させるつもりだったのが、その能力によって日本のオーディションに合格します。このために我々はさらに彼女を疑うことが無くなります。貴方もリーも必然として来日しているからです」

「私がリーの能力を予期していなかったといったな。それはどういう意味かな」

「私は以前、特殊能力を持った人間と対峙しました。当初、リーはそういった方法を使ったのではと思っていました。ところがそうではなかった。貴方の専門は遺伝子工学です。それで気が付きました。リーの遺体の遺伝子検査をしました」

 初めてトウの表情が変わる。

「その結果、驚くべき事実が分かりました。検査を担当された先生が驚いていました。まさに理想的な運動能力を持つべくして生まれた人間と言えるそうです。具体的にはアンギオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子、クレアチンキナーゼ遺伝子、アドレナリン受容体の遺伝子も理想状態でした。先生はありえないとまでおっしゃってました。それをどうやって可能にしたのかです」

「どうやったというんだ?」トウが初めて狼狽えたように見えた。

「遺伝子を操作したんです」

「君は素人だろう、そんなことが出来るのかね」

「中国の南方科技大学の賀建奎がけんけい准教授が2018年にゲノム編集によって双子の赤ちゃんを誕生させたと発表しました。その方法はクリスパーキャス9というものです。この手法は従来の遺伝子組換え技術と比べると、はるかに高い精度で狙った遺伝子を改変することができます。さらにその作業時間も短いものです。動物実験ではすでに応用されている技術です。

 賀教授が発表した際も各国の研究者は一斉に非難しました。人間が行っていい領域を超えていると。人間に行うことは倫理観の観点からも否定的な意見が多く。以降、同じ方法を人間には使ってはいません。賀教授は表舞台から姿を消しました。それと同じことを貴方が行っていたということです。クリスパーキャス9は2012年に発表された方法ですが、リーは17歳ですから、実に18年前に貴方は実行していたことになります」

「まったく根拠がないだろう、まあ、しかし私には人間に遺伝子組換え技術を使うことに何ら問題があるとは思えないがね。倫理観の観点からも、より完璧な人類を作り出そうという行為のどこに問題があるというのかね。少なくともそういった実験をやり続けないと、これからの人類に未来は無いのだよ。人類の進歩を止めようとすることは愚かなことだ。くだらない倫理観に左右されることに価値は無い」

「そういう考え方も否定しません。ただ、貴方はそうやってリーを作り出しました。遺伝子操作に加えて、彼女の身体能力を上げる様々な方法も試されているようです。彼女がオリンピックに出場すれば、ドーピング級にメダルを獲得するでしょう」

「少し誤解があるようだから、補足しよう。遺伝子組み換えだけではそれだけの人間は作れない。元々の受精卵にそういった要素が無いとそこまでにはならない。私がそれをやったとは認めていないがね。それと先ほど、君はリーの歌唱能力は意図しないものと言ったが、それは違うな。歌唱能力も運動能力の一種だ。だからあの能力も必然と言えるのだよ。ただ、リーの能力はそれだけでは説明できなかったがね。確かにある不思議な力が備わっていた。それは遺伝子の妙というやつだよ。遺伝子を補うとさらにその改変も遺伝子が行うのだよ。我々が意図しない能力までも加わることもあるということだ」

「そしてリーは工作員として教育されました。それを誰がやったのかはわかりませんが、ただ貴方もリーの親として彼女を教育した。リーは人工授精の子供です。両親は居なかった。よって親代わりのあなたの命令は絶対となります」

「そういった君の想像の世界だと、そういうことになるんだろうな」

 冷泉はそれには答えず話を進める。「そしていよいよ貴方は日本での活動を開始させます。貴方は東北地方の西側であることをおこないます」

 トウはじっと冷泉の話を聞いている。やはり肯定も否定もしない。

「闇バイトで二人の人間を雇います。鳥飼翔太と光本真です。このバイトの内容は簡単ではありません。よって彼らには教育が必要でした。気球を上げることと水源に何かを流す作業もやらせていました」

 トウは相変わらずポーカーフェイスだったが、言葉が無くなってきたことから、それが事実であることを雄弁に物語っている。

「彼らは気球については上げることだけをやっていました。それはあるものの散布を目的としていた。貴方は彼らには場所の指定だけを行っていた。それ以外は専門的な知識が必要となります。気球にはドローンが付いていて、その操作自体は遠隔で貴方が行っていた」

「証拠はあるのかね」トウが質問する。

「まだですが、これから集めます」

「ふん」トウが不満げに言う。

「気球を使って散布するのは雨雲に乗せるためです。もしくは雨雲を作りだすクラウドシーディングだったのかもしれません。とにかく雨を使って効率よく散布させることを目的とした。そしてそれは成功し東北地方に散布することに成功します」

「何のためにそんなことをするんだ?」

「そうですね。簡単にはわかりませんでした。動物が死んでもその原因はわからなかったですから」

「そうだろ、何も出てこなかった」

「はい、そのとおりです。それについてはこれから順を追って説明します。話を戻します。闇バイトで雇った連中は、これは初めから想定されていたと思いますが、ここで口封じのために殺します。実行はリーが行いました」

「その根拠は?」

「二つあります。まずはその殺し方です。四肢をばらばらにする、身体の部位を分割させる殺害方法は中国では昔から行われていました。いわゆる拷問になります。車裂というのは罪人の四肢を馬車で引かせる殺害方法です。これを模しています」

「それは昔からある拷問だろう、ヨーロッパでも同じようなものがある」

「そのとおりです。ただ、この拷問には意味がある。恐らくリーにそういった話をしていたのではないですか」

「何をだ」

「第二次世界大戦で日本軍が中国本土で行ったと言われている虐殺です」

 トウが初めて冷泉を睨む。

「中国では電柱に遺体を吊るすといった残虐行為が行われたとも言われています。今回の遺体はそれを模している。なぜ、高い木の上に遺体を吊るしたのか。貴方はリーにそういった教育を施しましたね」

「何を馬鹿なことを言っている。それは事実だ。南京で日本軍が中国の民間人を40万も殺したのは事実だ。それも女子供の区別もなく、面白半分に虐殺したのだよ」

「リーはそういったことを信じていた。だからあの殺害方法になった。日本人を恨んでいるかのように」

「恨んでいたんだろうな。同胞を無下に殺された思いは簡単にはぬぐいえない。それを認めようとしない小日本人にもな」

「ただ、これはリーに聞くしかなかったことですが、彼女には葛藤もあったのではないかと思います。実際、この地に来てからの彼女の日本への印象に悪いものは無かったはずです」

「それも推測だな。で、後は?根拠は二つあると言ったな」

「はい、もう一つは遺体の損壊状況です。素手で人体をばらばらにするようなことは普通の人間にはできません。リーの並外れた腕力が無いと無理です」

「それだとリーの行為とは断定できないだろ」

「いえ、遺体にあった圧痕がリーの指の位置と一致しています。これも80%近い確率で断定できるそうです」

 トウの顔に動揺が見られる。

「話を続けます。この段階で貴方の実験、東北で行った実験をもって、やりたいことは完了していた。ところが思いもよらない事件が起きます。リーが白岡を殺してしまったのです」

 トウが冷泉から目をそらし、上を見上げる。

「リーにあの日、何があったのかは定かではありません。とにかくリーは白岡に自宅まで呼び出されます。白岡の表向きの予定にはリーとの面談は無かったので、いわゆる下心のようなものがあったのかもしれません」

「小日本人のやりそうなことだ」

「そこでリーは怒りに任せて白岡を殺害してしまいます。そして我に返って貴方に連絡します」トウは返事をしない。「貴方はリーに指示を出します。防犯カメラの破壊や遺体の始末、部屋の処理についてです。そして貴方も急いで現場に駆け付けます。防犯カメラは破壊されましたが、貴方の車が白岡邸近くを走行している画像を見つけました」

「それで現地に行ったことにはならないだろう」

「確かにそうです。ただ、行ってないことの証明にもなりません。話を続けます。現地で殺害の痕跡を消すために漂白剤などを使います。これも貴方が用意したものです。途中のホームセンターで漂白剤を購入した画像を見つけました」

「ふん、それも状況証拠にすぎんな」

「処理を終えた貴方は遺体の処置を考えます。そのまま遺体を残せば間違いなく疑われることになります。幸いリーが白岡邸に行ったことは秘匿事項になっています。まずは遺体を隠すことが重要でした。もちろん、自分たちで廃棄処理をするリスクは避けなければなりません。それで闇バイトを当たります。これは推測ですが、小田部たちには以前から何か依頼をしていたのではありませんか、そうでないと当日、急に作業は出来ないように思います」

「根拠がない」

「いえ、あります。小田部の行動からそれは推察できます。小田部が八王子で殺されるときに貴方と遭遇して、驚いて逃げ出している。顔なじみでないとあの行動は取りません」

 トウは黙る。これは認めたと同じだ。

「小田部たちは貴方の指示通り番太池に遺体を沈めます。運悪く遺体が発見されますが、それが無ければ白岡は行方不明で終わったのかもしれません」

 トウは冷泉をじっと見つめる。それはあたかも彼女の実力に気が付いたとでもいうのだろうか。

「ここまでで何か言うことはありますか?」

「いや、面白い作り話だな。続けろ」

「次の事件です。これも当初、予定していたものではありませんでした。小田部たちの行動が表に出ることは無いはずでした。ところが、小田部がネットに情報を漏らしてしまいます。通常であれば黙殺されるような事項でしたが、警視庁のサイバー対策課がその言動に注目します。そして私が小田部に会うことになります。これも我々は一つの情報としかとらえていませんでした。小田部が知人の話として言っただけだったのです。ところがこれに貴方は敏感に反応してしまいます」

 トウは平静を装うが、内心はそうではないように見える。

「私にも思い当たることがあります。完璧主義です。貴方は小さなミスも許せない性格のようです。完璧に物事をこなしたい。よってこういった些細な事項も見逃せないのです。そうして小田部たちの殺害を決意します」

 冷泉も自身が完璧主義であることはわかっている。いつの頃からか物事をミスなくこなすことを必然と捉えていた。自分は間違いを犯さない。ミスをしない。そういった強迫観念に近いものも持っていた。それでトウの行動が理解できる。

「小田部の相棒である田中の居場所はわかっていました。それでまず田中を拉致します。ところが彼も小田部の居場所はわからないと言います。用心深い小田部は自身の居場所を頻繁に替えていました。さらに田中は貴方たちに拉致される寸前に小田部に連絡をしたのかもしれません。そこで貴方は考えます。どうやって小田部の居場所を掴むかです。それでイタコの少年の話を思い出します。科学者としても興味があったのではと推測します。それで町田邸に田中を連れて行きます。大夢少年は見事にその能力を発揮し、小田部の居場所を突き止めます。顔を見られた町田家の人間は始末する必要がありますが、大夢君については興味があった。科学者としてです。それで彼だけを連れ帰ることにしました。佐和子さんは運悪くそこで亡くなってしまいました。その場で何があったのかはわかりませんが、田中もそこで殺されます」

 トウが手で顔を拭う。動揺の色が伺える。

「逃げ延びた小田部は警察に助けを求めます。ただ、大夢君の能力によって小田部は見つけられてしまっていた。

 八王子のコーヒーショップには貴方たちが先に到着します。そこで貴方は小田部に顔を見せるだけでいいのです。彼はそれで逃げ出すのですから。貴方は小田部にとっては恐怖そのものです。コーヒーショップの位置を考えると、入り口側に貴方の姿を見た小田部は後方の非常階段で逃げることになります。これは貴方の作戦です。そこの非常階段にはリーが待ち受けていました。小田部は悲鳴をあげますが瞬殺されます。そしてここからがリーの真骨頂です。サイレンの音を聞いたリーはあろうことか屋上に逃亡します。死体となった小田部を持ったままです。これも貴方の指示だったと思います。屋上で警察と対峙しながらリーは飛び降ります。下では貴方が車で待っていた。そうやって貴方たちはまんまと逃げおうせました」

「私は店の防犯カメラに映っていたかね」

「はい、はっきりとはしませんが、貴方らしき人物はフロアカメラが捉えていました」

「まあ、立証は困難だろうがね」

「そうですね。ただ、その後の貴方の車は防犯カメラが捉えていました」

「しかし、リーは居なかっただろう」

「そうですね。後部座席の下側かトランクにでもいたのでしょうか、そういった証拠は収集中です」

「状況証拠だけだな。あれがリーだったという決定的な証拠もない」

「いえ、リーについてはマンションでの警察官殺害で立証可能です。あれによって一連の殺害も立証して見せます」

「まあ、いいだろう。それで肝心の動機だ。私が何をやろうとしていたのかがわかるのか?」

「私の力では到底無理でした」

「そうだろうな」トウが勝ち誇った笑顔になる。

「ただ、私の上司である保科のメモにヒントがありました」

 冷泉は保科の手帳を出す。

「彼は早くから東北で起きた動物の死亡事件を気にかけていました。それが闇バイトの鳥飼たち気球部隊の動きと一致していたからです。ところがその動物の死因がよくわからない。調査していた教授にも原因がわからず、動物に毒物反応もなかった。さらに土壌にも異質物の形跡は無かったそうです」

「何も無かったからな」

「ええ、ただ保科はあきらめませんでした。そこで遺伝子工学の教授に相談します。すると宿河原教授があなたの論文を見つけてくれました。遺伝子変化による自律神経への影響というものです。ただ、厳密には著者名が違っていましたが、間違いなく貴方の論文です」

 トウは怪訝そうな顔で、「何を根拠にそういうんだ?」

「論文には癖がでます。文体や使う言葉などです。特にこれは英文で書かれていますからそれが顕著にでます。一応、その分析も行ってもらいましたが、90%近い確率で同一人物によるものだという結論になりました」

 トウは再び無言になる。これは認めたということだ。

「その論文によると自律神経失調症を起こす因子を見つけたとあります。その詳細についての記載はありませんが、動物実験では65%もの確率で失調症を発生したとあります。これが20年以上も前の論文ですから、現在ではさらに進化しているのかもしれません。保科はさらに動きます。死んだ動物に同じ遺伝子異常があったのかの調査を依頼しました。結果は予想通り、第9番染色体におけるIKBKAP遺伝子が変異していました。これで遺伝子異常があったことは確認されました。ただ、やはりその因子の正体がわかりません。土壌からは何も見つけられなかったのですから、さらに貴方の論文にもその詳細については記載がありません」

「あえて書いてないのだろう。それこそ兵器になるものだからな」

「そうですね。これは推測ですがこの論文発表時に、中国国家安全部があなたに接触してきたのではないですか。これは殺人兵器になりうるものです」

「推測だな。それこそよくある小日本人の妄想とでもいえる」

「妄想ですか、いいでしょう。話を戻します。これでも保科は諦めなかった。つくづく粘り強い人間だと尊敬の念を禁じえません。彼のメモにこうあります。『米』と」

 平然を装うトウの顔色が変わる。

「気球の調査を続けていた保科は、その位置と稲作現場との一致を不思議に思います。それで米とメモしてあるのです。これは私には思いつかない発想です。

 次に遺伝子異常を起こした動物は何を食べていたのかを気にします。保科は教授に食べたと思われる植物を確認します。するとそこに奇妙な一致が見られました。イネ科の植物です。動物たちがメヒシバ、イヌビエなどのイネ科植物を食べていたようです。保科はさらに進言します。それを使って動物実験をしてくれないかと。それで現地にあったイネ科の植物をラットに食べさせたのです。結果は保科の目論見通りでした。同じように心房細動を起こしたのです。それで貴方の目論見がわかりました。これはイネを使ったバイオテロです」

 トウが苦々し気な顔をする。

「気球から散布したものはそれを作りだすための何かです。土壌にそれが撒かれればイネ科の植物は遺伝子変化を起こすのです。宿河原教授に確認したところ、アグロバクテリウム法という遺伝子組み換え技術があるそうです。植物の遺伝子を変化させる目的で一般的に行われている方法だそうです。微生物を使って植物の遺伝子変換はこれにより可能となります。微生物ですから薬物とは違います。よって検出はされないことになります。それこそ自然界には莫大なバクテリアが存在しますから」

 トウは平静を装う。

「貴方の経歴を調べると、元々は植物の遺伝子組み換えを主体に研究していました。それでアクロバクテリウム法での因子の発見につながったのではと推測します。事実解明にはもう少し調査が必要ですが、いずれはその微生物の正体も突き止めることが出来るでしょう。さらに遺伝子変換されたイネ科の植物の選別方法もやるしかありません」

「もう遅いだろう、これで東北地方の米は全滅だ」

「ええ、その通りです。それどころかこのバイオテロの恐ろしいところは、米への不信感が募ることです。食文化全体への警告です。該当しない地域の米も人々は同じように危険なものと考える。それが一般大衆心理です。さらに稲作の打撃や日本の農業そのものまで崩壊させられる可能性があります」

 ここでトウが不敵に笑う。「それはおかしいな。日本の農業はすでに崩壊しつつあるだろう。日本の食料自給率は38%しかない。世界各国と比較しても極端に低い。さらにこれは年々減る一方だ。一般人は農作物は植えればすぐできるように思っている。土壌の改良にどれほどの時間がかかるのかも理解していない。面白いのはそういう事態に政府は手を打たない。農水省の一部が騒いでいるだけだ。これは政府、政治家が動く問題だよ。この国の馬鹿さ加減がよくわかる。私が何かやらなくても同じことになる。つまりその動きを速めたに過ぎないのだよ」

「それには反論の余地もありません。中国がそこを狙ったのは間違いがない。これにより日本の国力はさらに弱体化します」

「中国は関係ない。私がやったというのならそれは私個人がやったことだ。ただね、国力が弱体化しているのはこの国の政治の問題だ。こちらに来て驚いたのが政治家は何を考えて動いているのかだよ。少なくとも中国の政治家は自国の国力を上げる目的意識を持っている。そのための仕組み作りを計画的にやっている。ところがこの国の政治家は国民の人気取りばかりを考えて、国の未来像も作り上げない。また、それを良しとしている国民も同罪だ。先ほども言ったがバイオテロだというのなら、それはその衰退の動きを速めただけだ。この国の滅亡のカウントダウンは始まっているのだよ。中国に支配されたほうがこの国は幸せなのだ。

 面白い話がある。農業自給率の低下をどうするかの問題で、海外から輸入すればいいと言ってたやつがいた。まったく危機管理意識が無いのだよ。非常時にそんなことが出来ると思うのか、この国はまさに平和ボケしている」

「中国には自由がない。人民を力で弾圧しています」

「馬鹿を言うな。それもこの国の報道のなせる業だよ。人民を弾圧しているなどと言うのはこの国の人間と欧米の一部の人間だけだ。いいかな、それを中国国民は望んでいるんだよ。14億もの人間をまとめ上げないとならない。それには今のような絶対主義、専制政治が不可欠なのだよ。SNSの規制、報道規制や法による支配を徹底しないと、国民全部が同じ方向には向けない。それは歴史が証明しているだろう、絶対的な権力者が国を動かさないと国力はあがらないのだ。米国は自由主義だと言うが大統領制は専制政治に近い。権力者が国を動かす仕組みは同じだ。中国ほどではないがね。まあ、これからは間違いなく中国の時代になるのだよ。その優位性には疑いがない」

「言いたいことも言えない世の中でも構わないのですか?」

「政府の方向性を否定するような意見を排除するのは当然だろう、それにより間違った方向に人民が動くことの方が問題だ。君は日本で報道統制が行われていないとでもいうのかね。ネットで何か言うと一斉に報道は取り上げる。その意見が少数なのかどうかは二の次だ。とにかく正論ばかりを言い続ける。不倫が悪いとか、裏金がどうとか、どうでもいい話を延々続けている。愚の骨頂だ。時間の無駄遣いだ。私が面白いと思ったのはマイナンバーの問題だ。国として進める事業に対し、マスコミは一斉に否定の意見ばかりを取り上げる。その反対意見が少数であるかどうかは関係ない。健康保険証が無くなると大変だとか、不具合連発だとか、それを鵜呑みにする国民も問題だが、つまりは君が言う報道統制と同じことがこの国で行われているのだよ。それに誰も気が付かない。結果的にマスコミが報道統制を行っているのだよ。はっきり言ってそんな間違った自由はいらない。

 そうだ。もっと面白い話をしよう。この国に長くいればいるほど、人間はおかしくなるのだ。あのリーがそうだ。当初、自分の役割を明確に理解して指示通り動けていたものが、この国の雰囲気に流されていく。白岡を殺したときは彼女を褒めた。君は白岡に下心があったと言っていたが、そんなものはリーにとってはどうとでもできる話だ。白岡はリーに何も出来ないと悟ると彼女を侮蔑したそうだ。この三国人が、と言ったらしい。殺されて当然だ。まあ、リーにすれば彼に触れただけなのかもしれないがね。しかしそんなリーでも毒されていくのだ。自由という絵空事に踊らされていくのだよ。ついには自分の意見を言い出した。ここで歌い続けたいだと、まったく何が重要かを判断できなくなるのだよ。それと町田邸でも女を殺すのは嫌だと言い出した。最後はあの少年もだ。あれの殺害も拒否しだした」

 トウは興奮して事実を述べだした。

「佐和子さんは貴方が殺したのですか?」

「自然死だ」

「科捜研を通じて遺伝子検査を行わせています。IKBKAP遺伝子異常があれば貴方の仕業ですよ。それと同じ方法で大夢君も殺そうとしたのですか?」

「さあね」

「あの時、それを保科さんが阻止しようとした」

「今となってはリーにあの警官を殺す意思があったのかもわからんね。今までのリーなら間違いなく瞬殺したはずだが」

 冷泉は歯を喰いしばる。

「もう一つ、保科が気にしている点です。保科は何故、気球を飛ばしたのかを考えていました。水源にバクテリアを流せば済む話ですから、何らかの意味があるはずだと」

「ほう、意味があるのかね」

「稲作の場合は水源を使えばそれで済むはずです。ところがそうではない農作物があります。水源に頼らない方法を実験したのではないかということです」

「それもメモにあるのか?」

「あります。イネ科の植物、小麦、トウモロコシとあります。米国などへのテロを意識したのだとすれば必要な実験だと思います」

 トウが諦めたように笑う。

「すべてが正しいわけではないが、まずまずいい観点だ。立証できるかはわからんがね」

「必ず立証して見せます。ところで貴方は負けを認めますか?」

「私は小日本人とは違うんだよ。認める認めないは言わない」

「わかりました。それでけっこうです」

 トウは認めたのだ。

 

 冷泉は大夢が入院している病院を鮫島と訪ねる。

 緑の多い、森の中にあるような郊外の病院である。今やセミの声も盛夏のものではなく、もの悲しく啼く。大夢は身体的な傷害は無かったが精神的なショックが大きく、心のケアが必要とのことで入院となった。

 鮫島は相変わらずギブスをしている。本人は三角巾も外したいようだが、医者からは3週間は無理をしないようにと言われていた。ただ、鮫島は腕の痛みよりも心の痛手が激しいようだ。冷泉が受付で面会の書類に記載しているときも後ろで呆けていた。

「ゆきは無理して来なくても良かったんだよ」

「いえ、上司命令ですから」

 冷泉たち女性警官が、大夢に話を聞いた方がいいという上の判断である。

「腕は痛いの?」

「今にして思えば、リーは私に手加減をしたと思います。あの力を持ってすれば瞬殺も可能だったはずです」冷泉は答えない。「かわいそうでなりません。あの娘は歌を歌いたかっただけなのに、あんなことに利用されてしまって」

「彼女も犠牲者なのかもしれないね」

 鮫島はうなずく。


 大夢の病室に冷泉たちが入る。

「こんにちは」

 ベッドで外を見ていた大夢が冷泉を見て、笑顔になる。

「お姉ちゃん」

「どう、調子は?」

「うん、大丈夫」

 冷泉と鮫島がベッドわきの丸椅子に座る。

「これ、持ってきたの、お菓子と本」そう言うとお菓子の袋と本を差し出す。

 大夢はお菓子をベッドわきに置くと早速、本を広げる。

「あ、これ読みたかった本だ」

「そう、よかった」

 大夢は本を開けて何ページか見る。

「大夢君、あの時の話は出来る?」

 大夢は少しつらそうな顔になる。冷泉もつらいがこれは仕事なのだ。

「大丈夫」

「君の家におじいさんと女の人、それと若い男が来たんだよね」

「そう、佐和子さんは断ろうとしたんだけど、無理やりに来たんだ」

「それでその男の人のイタコをやらされたのね」

「小田部って人になって、どこにいるのかって聞いてた」

「その時は何が見えたの?」

「すごく怖がってたよ。八王子の駅前で公衆電話から冷泉さんに電話をしてたんだ。コーヒーショップに来てって。僕が見えたのはそこまで」

 小田部は電話ではコーヒーショップとは言っていなかった。ただ、大夢は小田部の心を透かして見たことになる。

「その後はどうなったの?」

「そこからはぼんやりとするんだけど、女の人が男を殴ったのかな。それで男が動かなくなった。その後、女の人がおじいさんと言い争いになってたかな。その後、佐和子さんは何かされて動かなくなったと思う」

「何をされたの?」

「それはよくわからない」

「そして大夢君は連れていかれたのね」

「そう、おじいさんの車に乗せられた」

「女の人は?」

「いなくなったよ」

 リーは田中の遺体を処理したということか。

「それで大夢君はマンションに連れていかれたんだよね。何をされたの?」

「血を取られたり、口の中をいじられたり、後は何かの検査」

 遺伝子検査でもしたのだろうか。

「何か言ってた?」

「何にも、ああ、でもわかるんだ」

「わかるって何を」

「僕は人が何を考えているか少しは見える」

「そうなの?」

「うん、僕の能力はその人の心を見てると思う。それに何かの想いが伝わるとその人に関係する人の心も見えるんだ」

「そうなんだ」イタコの秘密が垣間見える。

「おじいさんは僕があの女の子と同じだと思ってた」

「女の子ってリーのこと」

「そう、同じような方法で生まれたって思ってたみたい」

「そうなの?」

「あ、そうだ。冷泉さんに僕のことを教えてあげる」

「どんなこと」

「僕は佐和子さんから生まれたんだ。だから佐和子さんがお母さんなんだけど、本当のお母さんは美野里さんなんだ」

「どういうこと?」

「難しいんだけど、何かの方法で生まれたんだって」

 冷泉はそれで理解する。人工授精だ。受精卵を使って佐和子さんが代理母になったということか。それでトウは大夢が同じだと思ったのだろうか。

「どうしてそれがわかったの?」

「佐和子さんがそう思ってたから、そしてそのことを後悔してた。美野里さんはそれで死んだんだから」

「え、そうなの」

「そう。でもね、悪いのはお父さんなんだ。その方法で実験もしたみたい」

「実験?」

「よくわからないけど、そのままだと僕が上手く育たないから、何か実験をしたみたい」

 冷泉はそれで理解する。リーと大夢が同じだということを。櫻井教授はトウと同じことをしたのだ。クリスパーキャス9によるゲノム編集だ。美野里さんか櫻井教授に先天的な異常があったのか、おそらく美野里さんのほうだろう、それでゲノム編集をおこなって大夢君が生まれた。それを知った美野里さんはそれを苦にして、死ぬことになったのかもしれない。

「佐和子さんも苦しんでたのね」

「そう」

「大夢君の能力はそのせいなのかな」

「それはわからない」大夢がつらそうな顔をする。

「あ、ごめんね。それで最後の夜の話だけど、大夢君の所に刑事が助けに来たでしょ」

「そうみたい。僕はあんまり覚えてないんだ。何か薬みたいなものを飲まされてたから、でも助けに来たのはわかった。女の子が刑事さんに飛び掛かるんだけど撃たれたんだ」

「そうなんだ」

「でもあの女の子は死にたがってよ。つらくてつらくて仕方が無いって気持ちがあふれてた」

「そうなんだ」

「あのおじいさんには逆らえないから、ああなったのかもしれない」

「そうか、かわいそうだね」

「うん」

 鮫島が嗚咽を漏らす。大夢は鮫島の気持ちも理解するのか、優しい目をむけている。

 ここで冷泉は今日、話をしようと思っていたことを言う。

「大夢君、もしよかったらだけど、お姉ちゃんと暮らさないかな?」

「え、どういうこと?」

「うん、今、私も一人なんだ。大夢君さえよければだけど、私の家に来ない」

「お姉ちゃんの子供になるの?」

「戸籍上、どうすればいいのかはこれから考えるけど、まずは一緒に暮らさないかな?」

 大夢は下を向いて何か考えている。

 そしてつぶやくように言う。「僕は祐介君じゃないよ」

 冷泉がびっくりする。「そんなことじゃないよ。祐介は関係ない。大夢君が自活できるようになるまで一緒に暮らさないかってこと」

「いいの?」

「いいよ。でも学校は替わらないとだめかもしれない。自宅は目黒だから」

「それは仕方ないか」

 冷泉が笑う。

 都会の病院とは異なり、この病室からは森が見えている。宅地開発なのだろうか、山並みは削られていて、その先には多摩地方の街並み広がっている。

 そしてそこに農地は無い。日本はこれからどうなるのだろうか、ただ、大夢や保科の子供たちのためにも、このままではいけないと思う。


 この事件は報道されるや大変な騒ぎとなる。トウの狙い通り、日本の農業自体が揺らぐ結果となる。政府は遺伝子異常を起こした米については全数チェックを行うこととしたが、一部の報道では安全性に疑問視する声が上がり、米自体が売れなくなる。それどころか日本の農作物全体への懸念が広がり、国内外での販売不振が広がっていく。

 日本経済は壊滅的な打撃を受けることとなった。


これでこの物語は終わりです。

私としてはこれまで書いてきた中でそこそこ良くなった気はしています。

とにかく、今考えうることをすべて入れ込んだ感があります。

読者の皆様が喜んでもらえたらうれしいです。


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