賞金を山分け
ライエルはルイテスを静かに見てからかう様に言った。
「人助けか、数年間、幼い頃から、さ迷っていたのによくそんな気持ちが生まれたものだな」
「一人じゃあなかったから、フェアリオと一緒にいたから」
彼女はフェアリオと初めて出会ったことを思い出す。
「それにいい人達にも、会えたし」
「そうか」
ライエルは何故か笑みを浮かべた。
「ところで、どうしたのですか、ライエル」
「交代だよ」
彼がそう言うと、ルイテスは驚く。
「まだ交代する時間じゃあないですけど」
「キミは女の子だろ、夜更かしはお肌の大敵だろ」
ライエルは笑った。
「それはそうですけど」
彼女はそう言うと、彼は再び笑う。
「だから、休め」
「はい、わかりました」
ルイテスはまた押し問答になりそうだったので、従うことにした。
「わかりました。休ませてもらいます」
彼女は頭を下げて、『おやすみなさい』って言ってその場を離れる。
暫くして、ライエルは気配がないことを確認して笑った。
「これで、俺の計画が発動する」
そうして、彼は焚き火の火を絶えさせない様に薪を投げ入れた。
そうして、朝を迎えた。
毛布を身体に巻き付けて、眠っているルイテスの顔をフロルがじっと見ている。
「フロル、どうしたの」
テレスがやって来て声をかけると、彼女は大きくジェスチャーをした。
「そうね、ルイテスさん、綺麗な顔をしているわね」
フロル達が笑っていると、彼女は目を覚ます。
「あ、テレスさん、フロルちゃん、おはようございます」
ルイテスは朝の挨拶をして、背伸をした。
「おはようございます。ルイテスさん」
テレスは笑う。
「お母さん、お腹が減ったよ」
ケンムがお腹を押さえながらやって来た。
「もう、男の子ってデリカしいがないわね」
テレスは苦笑すると、フロルも頷く。
「そうですね」
ルイテスは笑って、立ち上がった。
「あ、ルイテスさん、そのままでいいですよ」
テレスが言うと、彼女は笑う。
「一応、彼らにもなにか、食べさせておかないといけませんから、手伝います」
テレスはその言葉に自分達を襲った強盗団の方を見た。
「そうだね、お願いします。始めましょう」
彼女は頭を下げて、歩き出す。
ルイテスとテレスはそうして、人数分の食事を作り上げた。
「ルイテス、そろそろ移動保安官が来る頃だぞ」
ライエルが声をかける。
「そうですか、これで、安全にあの人達を連れて行けるね」
ルイテスが言っていると、ライエルが声をかけた。
「ところで、彼らはかなりの賞金首だから、入ってきた金はどうする」
「それは山分けだと思いますけど、それがどうしたのですか」
ルイテスが首を捻る。
「誰と山分けするつもりだよ」
ライエルが尋ねると、彼女は笑った。
「それは、まずダイレスさんに五分の二あとは、その残りをあなたと私で山分けですけど」
そのことを聞いた。ライエルも笑う。
「それでいいだろう」
二人の話しを聞いていたダイレスは慌てた。
「いえ、私どもは何もしてはいません、受け取るわけにはいけません」
「迷惑料だと考えたらどう、私達の方は私とルイテスだけだし、食費などは一人分で良いし」
ルイテスの肩に乗ったフェアリオが言う。
「まぁ、そう考えてくれないかい」
ライエルが静かに言った。
「わかりました。そうします」
彼が頷いていると、馬の鳴き声がして、鎧で武装し馬車を引いている一団が現れる。
「あれは」
ルイテスが声を出すと、馬車が止まり一人の男性が降りてきた。
「ミックさん、どうしてあなたが」
「ルイテスか、久しぶりじゃないか、今回はこの辺りが担当になってね」
そのミックと呼ばれた男性は笑う。
「ルイテス、知り合いなのかい」
ダイレスが訪ねると、彼女は笑顔で答えた。
「はい、色々と世話となりました」
「こいつらか、今回、捕まえたのは」
ミックが彼女に訪ねると、ルイテスは頷く。
「はい」
「あの情報は掴めなかったみたいだな」
「はい、そのとおりですが、あの人達が助かってよかったです」
ルイテスがそう言うと。
「そうか」
ミックは笑って、手配書を見て笑った。
「ルイテス、すごいじゃないか、こいつらの合計は」
「そんなにすごいのですか」
ルイテスは提示された金額を見て驚く。
「どのくらいなのだい」
ライエルもその金額を驚いた。
「すごいな」
「持ってきたお金では足りない様だから、この近くの町に行けば、用意が出来るので一緒に来てくれないかい」
ミックがルイテス達を見つめる。
「私の方は構いませんけど」
彼女はダイレスとライエルの方を見た。
「わたし達は構わない」
ダイレスが言うと、ライエルも同意する。
そうして、ルイテス達は、強盗団を連れて、移動保安官達とともに近くの町へ向かい、たどり着いて、賞金を貰って、ライエル達と山分けをして、それぞれの道へ別れることになる。