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ウィング・ガード  作者: ゆたか
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馬車の親子

 ルイテスはその男性に優しく声をかけた。

「大丈夫ですか」

「ありがとう、キミのおかげで助かったよ。わたしはダイレス・ケルス、キミの名前は」

 ダイレスと名乗った男性はフェアリオから彼女の名前を聞いてたが、 彼女の口から聞きたくて訊ねる。

「私は、ルイテス・リミア・ウィンガードです」

「そうか、ルイテスか」

 ダイレスはその名前を口の中で何度も繰り返した。

「あなた」

 その時、ダイレスの妻と三人の子供がやって来る。

「お姉ちゃん、すごく強いね」

 三人のうちの一人が言うと、残りの二人も頷いた。

「そうかな」

 彼女は恥ずかしそうに苦笑する。

 そのルイテスの顔を見て、アメリアは肩を落とす。

(勝てない、強い、この女には)

 ルイテスは彼らの話しから、ダーク・マリュウが本格的に活動していないことを悟った。

「ところで、こいつらをどうする」

 ライエルが訊ねると、彼女は空を見上げて言う。

「そろそろ、日が落ちます。今、動くと危険なので、夜が明けたら、この近くの町か村の保安所まで、連れて行こうと思いますけど」

「そうだな、夜になると、かえって危険だな」

 ライエルが相槌を打った。

「それなら、彼らを縛って、此処で夜をあかそう」

 ダイレスが言う。

「そうですね、まずは、私が番をしますので」

 ルイテスが言うと、ダイレスが頭を下げた。

「よろしく頼みます。ルイテス」

「はい」

 彼女が笑うと、ライエルは言う。

「その次は、私がやりましょう」

「そうですか、お願いします。ライエルさん」

 ルイテスが言うと、ライエルが笑った。

「俺には、敬称はいらない」

「でも、歳上の人には」

「俺がいいっていているから構わないよ」

「でも」

 彼女が口ごもると、ライエルはもう一度言う。

「俺がいいって言っているから、いいのだよ」

 ルイテスはこれ以上、言い合うと収拾がつかなくなると感じて、折れることにした。

「わかりました。よろしくお願いします。ライエル」

「じゃあ、火を起こすか」

 ライエルは背伸びをして、焚き火を起こして、近くに腰を降ろす。

「あ、そういえば、ワタシの名前を言っていなかったわ」

 ダイレスの妻がルイテスとライエルを見た。

「そういえば、そうでしたね」

 ライエルが苦笑する。

「ワタシはテレス・ケルス、この子達は、息子のケンム、娘のアユカ、そして、亡くなった親友の娘のフロルよ」

 テレスと名乗ったその女性は三人の子供をルイテス達に紹介した。

「そうですか」

 ルイテスは笑って、フロルを優しく見つめる。

「あなたね、助けを求めたのは」

 すると、彼女は大きく頷いた。

「あなた、聞こえたの、フロルの心の声が」

 テレスが驚いて彼女を見る。

「はい、私も以前、声を失っていた時期が有りましたので」

 ルイテスは優しく笑った。

そして、彼女達は簡単な夕食を取る。その後、ルイテスはアメリア達にもう一度、訊ねる。

「あなた達に、もう一度聞きたいのだけと、ダーク・マリュウは今、何処にいるか知っている」

 そのことを聞いた彼らは顔を見合わせて笑った。

「ダーク・マリュウが、あんたが追っている者かよ」

 彼らが笑っているのを気にすることなく、彼女は言葉を続ける。

「そう、知らないのね」

「待ちなさいよ。どうゆうことなの、あのダーク・マリュウが復活したとでも言いたいの」

 アメリアがルイテスを睨んだ。

「そのとおりだよ」

 彼女がそう言うと、アメリアやダイレス達は驚いていたが、何故かライエルは驚いてはいなかった。


 やがて、皆が寝入って、ルイテスが火の番をしていると、ダイレスがやって来た。

「少し、いいかな」

「はい、どうされたのですか」

 彼女が返事をすると、ダイレスはルイテスの二本の剣を見て訊ねる。

「キミのご両親の名前を教えてくれないかい」

「私のですか」

 彼女は星空を見上げた後に口を開いた。

「私の父は、クラウド・ルイ・ウィンガード、母は、ジャルーラ・テス・ウィンガードです」

 そのことを聞いた彼は首を捻る。

「そうなのか、ところで、その剣は何処で手に入れたのだい」

「両親の形見です」

 ダイレスの問に彼女は答えた。

「そんな筈はない、これは」

 ダイレスが言葉を続けようとすると、フェアリオが現れて、彼の耳元に近づいて何かを囁くと、彼は驚いて、ルイテスを見つめる。

「ダイレスさん、どうしたのですか」

 彼女がダイレスの顔を見た。

「いや、何でもない、もう寝ることにしよう」

 ダイレスは何かを思いながらそこから離れて行った。


 暫くしてルイテスは周りを警戒しながら、焚き火を見ていた。

「また。ダーク・マリュウの情報はなかったね、でも、あの人達が助かって良かった」

 彼女が呟いていると、声がかかる。

「それで、いいのかい、ルイテス」

「ライエルさん」

 彼女が声をした方を向くと、ライエルが立っていた。

「敬称はいらないと言っていただろ」

 そう言われた彼女はそのことを思い出す。

「ライエル、今の言葉はどういう意味なのですか」

 彼女が訊ねると、彼は笑った。

「あんな、小悪党がダーク・マリュウのことを知っているわけがない」

 ライエルは彼女を冷やかに見る。

「そのくらい、わかっているけど、 私はあの人達を助けたいと思ったから」

ルイテスはダイレス家族のことを考えて言った。

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