仇の名はダーク・マリュウ
ライエルはルイテスがドラゴンを治療していることを確認して、男達と戦っていた。
「なめているのか、お前」
彼らはライエルに怒りを向けていた。その理由は、彼が、剣を鞘に収めたままで戦っているから。
「いや、彼女と約束したのさ、あんたらを殺さないと」
ライエルは笑った。
「お前みたいな強い男が、何故、あんな小娘の頼み事を聞くのだ」
男達が訊ねると、彼はさらに笑う。
「やっと捜し出したのだから、少しいい印象を残さないとね」
「たった、それだけの為か」
男達は呆然した。
「そうゆうことだ」
ライエルがそう言っていると、聖装甲を脱いだルイテスがやって来る。
「ライエルさん、すいませんお待たせいたしました」
「いや、大丈夫だよ」
彼は笑う。
「おのれ、こうなったら、二人まとめてやってやる」
男達の一人がルイテス達に襲いかかってきた。
「さぁ、来なさい」
彼女は鞘をつけた細剣を構え、向かってきた、相手の脳天に振り下ろす。
「殺せ」
その男性は頭を抑えて、ルイテスを睨んだ。
「殺さない、あなた達には、聞きたいことがあるから」
「聞きたいことだと」
男性が訊ねたので、頷く。
「今はいい、あなた達をみんな、捕まえた後で聞くから」
ルイテスがそう言うと、彼はけいげんそうな顔をした。
「だって、他の人達を此処で逃がしてしまうと、また、他の場所で悪さをすると困るから」
「なんだと」
男性は彼女の言葉に驚く。
「そういうことですから、おとなしく待ってください」
ルイテスは男性を優しく見つめて、ライエルと合流する為に駆け出して、残りの男性に立ち向かって、気絶させた。
「あとは、あなただけですよ」
ルイテスはアメリアに話しかける。
「殺しなさい、あんたみたいな人に捕まるなんて、恥だわ」
彼女はルイテスを睨みつけた。
「ムダな殺しはしないの、あなたには生きて、今まで行なった悪事を反省してほしいから」
彼女がそう言うと、アメリアは叫ぶ。
「悪事だって、それがなにさ、ワタシタチはそうしなければ生きていけなかったの、悪いのは世間よ」
「言いたいのは、それだけか」
ライエルが冷たい声で、彼女に言った。
「なによ」
「それは、あなたの言い訳に過ぎないじゃないの」
ルイテスが言うと、アメリアは彼女を睨む。
「いい環境で育ったあんたに言われたくないわ」
「たしかに、六歳で親に死に別れて、彷徨って、色々な人達に出会って、何が間違いなのかを教わって今に至るのよ」
彼女がそう言うと、アメリアは愕然となった。
「なにが言いたいの、あんたは」
「あなたもいい人に出会っていたら間違いに気がついていたと思うよ」
ルイテスがそう言うと、ライエルも言う。
「今、捕まったのは、いい機会だと思うよ」
その言葉を聞いた。アメリアは項垂れた。
「ルイテス、かたづけは済んだの」
フェアリオがやって来る。その姿を見てアメリアは驚く。
「ドリームリア、どうしてそこにいるの」
「それは、私がルイテスを気に入っているからよ」
フェアリオが笑うと、アメリアはその彼女の様子を見て言った。
「その様子だと、フェアリー・ロックはかけられていない様ね」
「どうして、ルイテスが私にフェアリー・ロックをかける必要があるの」
彼女が首を傾げながら言う。そのフェアリー・ロックとは、妖精達を捕らえて、彼らの自由を奪う魔法である。
「どうしてって、あなたは主となった者に好きな夢を見せて、それを現実になる様にするドリームリアなのでしょう」
アメリアが訊ねると、フェアリオは笑い出した。
「私達、ドリームリアはそんな力はないわ」
「そんな」
アメリアはその言葉に肩を落とす。
「さてと」
ルイテスはフェアリオとアメリアとの話し合いが終わったことを確認して、アメリアの部下を見た。
「あなた達に聞きたいことがあります。ダーク・マリュウの今の居場所を知っていますか」
彼女がそう言うと、彼らはルイテスの顔を見る。
「すまないが、あんた、歳はいくつだ」
男達の一人が訊ねると、彼女は慣れているのか、すぐに答えた。
「十六ですよ」
「それなら、そのダーク・マリュウは名前を偽っていたのだろう」
とその男性か言うと、彼女は首を横に振って答える。
「あの人の気配は尋常なモノではなかったから」
「尋常なモノではないだと」
その言葉に彼は驚いた。
「だから、私はその人が間違えなく、約二十年前の魔王ギガルスの部下であるダーク・クインテットの一人、ダーク・マリュウだと思います」
そのことを聞いた男達は驚きの余り、声を出すことが出来なくなる。
「どうしたのよ。あなたたち」
「親方、どうやら、この娘が言うことは、偽りは有りません」
アメリアの問に男達の一人が顔をしかめて答えた。
「まさか、あのダーク・マリュウが、生きていたとは」
強盗団から逃げていた家族の父親が驚きの声を出して、そこに近づいて来る。
それは、ダーク・マリュウを含むダーク・クインテットは聖装甲戦士達に倒された筈と聞いているからだ。