ブラッド・ドラゴンの解放
ルイテスは纏っている鎧のことをウイング・ガードと言った。
「聖装甲だと、ウイング・ガードという銘の聖装甲は聞いたことはない」
男性は思わず叫ぶ。
「でも、このウイング・ガードは聖装甲だよ」
「黙れ、いい加減なことを言うな」
その男性がルイテスを睨んでいると、魔法使いの服を着ている男性が言った。
「だが、あの鎧から流れるチカラは聖なるモノだ。おそらく間違えなくあれは聖装甲だよ」
「なんだと、オレはあんな鎧は見たことはないぞ」
ドラゴンを呼び出した男性は改めて、ルイテスの鎧を見て、あることに気がついた。
(バカな、聖装甲が融合するなんて聞いたことはない)
「さぁ、助けてあげるから、ちょと痛いけど、我慢してね」
彼女は剣を構えて飛び上がり、ドラゴンを覆っている闇を切って、ある呪文を素早く唱えると、その闇が一塊になり、握り潰す様な行動をすると、その闇は消滅する。
「そんな、オレのブラッド・ドラゴンが」
その男性が慌てる様に自分の身体を触り始めた。
「安心して下さい、ブラッド・ドラゴンの呪いは発生しませんから」
ルイテスがそう言うと、彼は驚く。
「そんな、バカな、その呪文はとても複雑で、小娘ごときが習得できるモノではないぞ」
男性がルイテスを睨んでいると、魔法使いの男性が言った。
「カラサ、その娘が今、使った呪文が、その呪文だよ」
「ラカレ、どうゆうことだ」
カラサと呼ばれたドラゴンを呼んだ彼は驚く。ラカレと呼ばれた魔法使いは説明を始める。
「あの娘が唱えた呪文は高度な魔法で呪いを断つことができるのさ」
「呪いを断つだって」
カラサは愕然とした。
「なにをやっているの、早く、あの二人をたおしなさい」
アメリアが喚くと、残りの男達がお互いを見て、お互いに牽制し合う。
「お前が先に行けよ」
「オレが援護するから、お前が行けよ」
「なにを言っているの、全員で一斉に飛びかかりなさい」
彼女が叫び声を上げると、その声に男達は行動を起こし、ルイテス達に襲い掛かった。
「全く、ちょっと、待ってよ」
ルイテスは血の束縛から解放したドラゴンの治療をしている。
「あと、どのくらいで、すみそうだい」
ライエルが訊ねると、彼女は答えた。
「あと、二分ぐらいあればなんとかなります」
「そうか」
彼はそう言って、襲い掛かって来ている男達に立ち向かおうとする。
「ライエルさん、あの人達に聞きたいことがありますので、できるだけ殺さないで下さい」
ルイテスは彼の顔を真っ直ぐに見た。
「わかった。任せろ」
ライエルは微笑んで立ち向かって行く、その様子を見て、彼女は笑って、ドラゴンの治療を再開して、治療を終えて、水晶へ戻して、カラサに言う。
「カラサさん、もう二度と、闇の魔導書を使わないで下さい」
「わかった」
彼はただ頷くしかなかった。
「ルイテスって言っていたね、どうして、我らを見捨てなかったのですか」
ラカレが訊ねると、彼女は答える。
「あなた達に聞きたいことがあるからです」
「そうか、我らが答えられることだといいが」
ラカレは苦笑した。