赤毛の青年
その様子を馬車の父親が呆然と見ている。
「あの娘は、誰だ」
「もう、あの子たら」
女声がしたので、父親がその方を見ると、小妖精が居た。
「君は、いったい」
「私はフェラリオ・フェラリーよ」
その小妖精が答える。
「フェラリオ、あの娘は」
「ルイテス・リミア・ウィンガードだよ」
フェラリオは答えた。
ちょうどその時、強盗団はリーダーである少女を除いて、ルイテスと呼ばれている少女の攻撃に倒されている。
「そんな、そんな、細剣一本で」
その少女は愕然となった。
「さっきも言ったけど、降参した方がいいと思うけど」
「黙りなさい」
ルイテスが降参をすすめるが、その少女は彼女を睨み返す。
「そうなの」
ルイテスが呟くと、その少女は自分達の馬車の方を向いて叫んだ。
「あんたら、出番だよ」
そうすると、馬車から数人の男性が降りてくる。その男達はさっきの部下に比べ何倍も強そうに見える。
「とても強そうね」
彼女が言うと、少女は静かに笑った。
「どうしたの、あなたこそ、降参するなら今のうちよ」
「降参する気はないよ。私は負けないから」
ルイテスは笑いながらそう言っていると、突然、何処からもなく、一人の赤毛の青年が現れて、周りを見回した。
「どうやら、道に迷ったみたいだな」
「誰よ。あんたは」
強盗団の少女が言うと、その青年は睨む。
「人に名前を聞くなら、自分も名乗るのが、最低限のマナーだと思うのだけど」
「それも、そうね、アタシはアメリア・ガッドズ、ガッドズ強盗団の頭領よ」
彼女はそう名乗った。
「ところで、キミは」
青年は、今度はルイテスの方を見る。
「私はルイテス・リミア・ウィンガードです」
「そうか、俺はライエル・B・グライセントだよ」
青年はライエルと名乗った。
「どうして、そいつの名前まで、聞くのよ」
アメリアがライエルに腹を立てる。
「キミのことなんて、どうでもいいのだよ」
「どうゆう意味なのよ」
彼女はさらにライエルを睨んだ。
「キミには用がない、用があるのは、ルイテスの方だから」
彼がそう言うと、アメリアは怒り出す。
「なんですって、そんな、小娘に用があるってどうゆうことなのよ」
「キミに話す必要はない」
ライエルは冷たく言い放った。
「あんたら、こうなったら、ついでにあの男も始末しなさい」
アメリアが男達に命じる。
「運がなかったようだな、若造」
男達はライエルを見て笑った。
「まあ、それは困るね、やっと目的の人物に出会ったのだからね、此処で別れてしまうとは」
ライエルはルイテスの方を見る。
「私にどうして会いたかったのですか」
彼女がライエルに訊ねると、彼はニヤリと笑った。
「それは秘密だ」
「その小娘にも言えないか」
男達の一人が嘲笑うと、ライエルは言う。
「そうゆうことだよ」
「そうか、それなら、そこまでだ」
男達はそれぞれの武器を手にしてルイテス達に襲いかかって来た。
「わかりやすい奴らだ」
「ライエルさん、離れてください」
ルイテスはライエルの方を見る。
「このままだと、不利になりますから、打って出ます」
「そうだな」
ライエルも笑って飛び出した。