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ウィング・ガード  作者: ゆたか
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運命の仲間達との出合い

 茶髪の若者は苛ついていた。

「ちくしょう、何処にもいなかった」

「セルフ、ここは落ち着いて、情報を集めましょう」

 その男性が言うと、セルフと呼ばれた若者は、男性を睨む。

「オッサン、そうしてる暇なんてないぞ、早く捜さないと、姫が」

「やみくもに捜し回るよりも、情報を集めるのも大事だよ」

 フェアリオが言うと、今頃、気がついた様にセルフが彼女の方を見た。

「お前らは、お前らが邪魔しなければ、今頃、姫を救出できたのに」

「どうゆうことですか」

 ルイテスが男性に訊ねると、彼は彼女に耳打ちをする。

「はい、わたしどもの主、エイラ様が四十分前に連れて行かれたというわけです」

「四十分前に連れて行かれたのなら、私達のせいじゃあないのでは」

 フェアリオがそう言って、セルフを睨んだ。

「なんだ。お前ら」

 彼はルイテス達を睨んでいると、男性に頭を叩かれる。

「セルフ、いい加減にしろ」

「オッサン、でも」

 セルフは頭を押さえながら、男性を見る。

「この人達のせいではなく、わたし達がエイラ様から目を離したからだろう」

「しかし、こいつらにぶつからなかったら、姫を助けることができたのだよ」

 セルフはルイテス達をさらに睨むと、フェアリオが彼の目の前に立った。

「うるさい、己の過ちを人のせいにするな」

「そうですよ。セルフ」

 男性がセルフに言って、彼はルイテス達の方を見る。

「すいません、わたしはスクラリ・カサルタです。貴女は」

「私はルイテス・リミア・ウィンガードです。彼女は私の友達のフェアリオ・フェラリーです」

 彼女は笑顔で言った。

「ウィンガードですか」

 スクラリムと名乗った男性は不思議そうな顔になる。

「どうしたのですか」

 ルイテスが訊ねようとすると、スライムが口を開こうとすると、なにをおもったのかフェアリオが彼の耳を軽く引っ張って、小さく囁くと、スクラリムは驚いて、ルイテスの顔を眺めてフェアリオの顔を見て頷いた。

「そう、ルイテスといいますか、あまりにも珍しい苗字だったので、驚いてしまいました」

「おい、オッサン、どうしたのだよ」

 セルフがスクラリムを睨む。

「なんでもありません、それよりも、エイラ様を攫った者の情報をつかまないと」

 スクラリムがセルフを見た。

「あの、お手伝いしましょうか」

 ルイテスが声をかけると、スクラリムは驚く。

「ルイテス様、よろしいのですか」

「ルイテス様ってなにですか」

 彼女の言葉にスクラリムは何かを思い出した。

「いえ、ルイテス嬢」

 そのスクラリムの言葉に彼女は言う。

「私には、敬称はいりません」

「しかし」

 スクラリムが戸惑っていると、フェアリオが言った。

「スクラリム、ルイテスがいいって言っているからね」

「わかりました。よろしくお願いします。ルイテス」

 スクラリムは彼女に頭を下げる。

「はい、ところで、エイラ様って、どのような方ですか」

 彼女が訊ねると、スクラリムはエイラと呼んでいる主の肖像画を手渡した。

「この方がエイラ様です。極秘の旅ですので、商家の令嬢だとして捜して下さい」

「わかりました」

 彼女は頷いて、走り出す。

「オッサン、なにを考えている。あんな奴に頼むなんて」

 セルフが文句を言うと、スクラリムは彼を睨んだ。

「それは、我々だと、入れない場所もあるかもしれないからです」

「オレ様達が入れない場所だって、それは奴だって同じだろ」

 セルフが言うと、スクラリムは呆れて頭を押さえる。

「気がついていないのですか」

「どうゆうことだ。オッサン」

 彼が不思議そうにスクラリムの顔を見ると、彼は言った。

「ルイテスは女性ですよ」

「なんだって、女だと」

 セルフは愕然とする。

「そのとおりですよ。ルイテスは女性ですよ」

 スクラリムは改めて言った。

「そうゆうことなら」

「はい、我々、男が入ることが叶わない場所での情報集めができます」

 セルフの言葉にスクラリムが続ける。

「なんてこった、あんな女に頼らなくてはいかないなんて」

 彼は肩を落とした。

「それでは、セルフ、あなたはあちらの方を頼みます」

 スクラリムはそう言って、反対方向へ歩き出す。

「こうなったら、あいつよりも先に姫の情報を掴んでやる」

 セルフは意気込んで走り出した。


 一方のルイテスはエイラの肖像画を見せて情報を集めて、彼女がある男達に連れられていかれたと聞いた。

「その人達はどちらに行かれたのですか」

 ルイテスが訊ねると、その情報をくれた人は声を潜める。

「町の外側に塔が立っているでしょう、そこから来ているのです」

「そうですか、わかりました。ありがとうございます」

 彼女は頭を下げて、その場から立ち去った。

「あそこに、エイラ様が」

 ルイテスは塔を見上げる。



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