プロローグ
ある林で薬草を育てている二十代後半の夫婦はある夜、昼の様に明るくなったので、気になり、その場へ向かうと、そこには緑の髪の六歳前後の子供とその子の親らしい夫婦の遺体があった。
その夫婦は子供に脅かさないように、ゆっくりと近づいて行くと、その子供は、憎しみの籠もった緑の瞳で二人を睨みつけるが、妻はそれを気にすることなく子供を抱き寄せる。
「泣きたいのなら、泣いてもいいのよ」
それを聞いた子供は声を出さずに唸りながら泣き始めたので妻はその子供が声を出せないことに気がついた。
「どうしたのだ。その子は」
夫もその子供が声を出すことができないことに気がつく。
「不憫な子だ」
「そうよね、だから、私達でこの子を育ててみない」
妻が言うと夫は驚いた。
「おい」
まだ若い自分達で両親と声を失った幼子を、育てていく自身が起きることはなかった。
「大丈夫よ。なんとかなるよ」
妻はその子供を優しく抱き寄せる。
「頑張ってみるか」
夫は苦笑した。
「後は」
妻はその子供に静かに言う。
「このままだと、キミのご両親は野獣に食われてしまうわ」
そのことを聞いたその子供は素直に頷いた。
そして、夫婦は、2つの穴を掘って、二人の遺体をその穴の中に一つづつ入れて、子供の方を見た。
「なにか、形見になる物を取っておく方いいだろう」
その言葉に子供は頷いて、二人の首にかけている二つのペンダントの一つを手にする。
「それだけでいいのか」
夫が訊ねると、子供は頷いた。
「そうか」
夫は頷いて、彼は周りを見て、二本の剣があることに気がつく。
「あの剣は」
「あなた、どうしたの」
妻の言葉に彼はその剣を彼女に見せた。
「まさか、この子は」
夫は子供を見て、考えて、その子に剣を握らせ様とすると、妻が驚く。
「あなた」
「よくはわからないが、こうすべきだと思う」
子供が剣を握ると、その剣は子供が持ち運べる大きさになる。そして、もう一つもそうすると、同じ様になった。
「あなた、この子は、聖戦士の子供ってことなの」
「おそらくそうだろ」
妻は呆然と、その子供を見る。
やがて、すべてを終えて、墓石に名を刻む為に名を訊ねると、父親の名は、クラウド・ルイ・ウィンガード、母親の名は、ジャルーラ・テス・ウィンガード、自分の
名は、ルイテス・リミア・ウィンガードで女の子ということがわかった。
彼らには初めて聞く、苗字だったが、あることに気がつく。
「あなた、まさか」
「そうかもしれない」
二人は顔を見合わせて頷いて、ルイテスを育てようと考えたが、二日後、彼女は手紙を残して、姿を消す。その手紙には、両親の仇を取ると記されていた。
「これから、ルイテスちゃんはどうなるのでしょうか」
妻が静かに夫に訊ねる。
「それは、聖剣が彼女を導いてくれることを祈るしかないだろう」
「そんな」
妻は悲しそうな顔になる。彼女が復讐で道を間違えてしまうのではないかと思った。
二人はルイテスが闇に堕ちないことを祈る。