1話
あぁ最悪だ。
見飽きた天井を見る。もう2日もベッドで寝込んだままだ。枕元には低電力モードになったスマホ、お気に入りの漫画がある。けどこうやってぼんやりしているのが一番の暇つぶしなんだなと、これから役に立つこともない知識を脳に刻みながらあの時俺がとった行動を思い出してため息をつく。
2日前学校までの最寄りの駅から家に帰っている時だった。
近くのなんであるかわからない池(その時は水位が低くなって底が見えていた)を通りかかると何やら怪しい霧のようなものが漂っていた。
見るからに危ない紫の霧だったが好奇心というよりウケそうな話の種ができると立ち入り禁止のフェンスを乗り越えてその霧の近くまで近づいていった。だが池の周りは思ったよりもぬかるんでいてもうすぐ、という時に足を取られて転びかけたのだ。咄嗟に手を地面につこうとするが柔らかい泥はありがたいことに俺の手どころか肘あたりまで熱く受け止めてくれた。もちろん顔も泥にダイブしその上得体の知れない霧もその時吸ってしまったのだ。そこまでくるとさすがにヤバいと思い死に物狂いで池から立ち去り家へと帰った。
もちろん制服は汚れ、親には怒られ、気分が最悪だったのだが追い討ちをかけるように体調を崩した。
原因は泥かあの霧であることには違いないがあの霧がもし本当に危険なものだとしたらと考えるとさらに憂鬱になる。そういうわけでずっと俺は寝込み続けているのだ