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〜プロローグ〜
私の魂は無に帰ろうとしていた。背中に伝わる固くて冷たい感触。
「………ですが、この子は……」
誰かが近くで話をしているのだろう。だが、私の耳はそれを上手く聞き取ることができなかった。口からやっと吐き出されるのは、頼りない呼気。吸う力は最早残ってなかった。手も足も痺れていて動かない。
意識をそっと手放そうとした時、ふわっと体が浮き上がった。
体が締め付けられる。
温かい。
そして、聞こえる優しい声。
「 」
男の子だろうか?私はその声に答えようと無理矢理声を出した。
「ふぇぇぇん…」
周りの大人たちがどよめく。
「忌み子め、その赤子に勝手に触るんじゃない!!!」
ーパァンッ
乾いた音が部屋に鳴り響いた…。
私はそっと目を開けた。