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王太子殿下は婚約破棄をしたい

作者: 福本真理
掲載日:2022/07/18

俺はめちゃくちゃ婚約破棄をしたい。

本当にユキ・ブリジデンドには申し訳ないが、土下座だってするから破棄したいんだ。


ユキ・ブリジデンド。

17歳の公爵令嬢。


濃い顔にプクリとした唇、癖毛の赤毛は波打つようにサラサラキラキラ、不器用で頭は悪いが愛嬌はある。


それだけなら、許せる。それだけなら…。


『すまない、体調が悪いから帰宅する』

「王太子様、大丈夫ですか?」


ふにゅん。

胸が腕に当たる。


気持ち悪い。

牛並のデカすぎる胸。G85はある胸が気持ち悪くてたまらない。


『…離れてくれ』

「でも!」

『離れてくれ!』

「…はぃ…」


俺は彼女を振り払い、城に戻った。




帰宅したら、宰相と娘のマリー・クラレスと立ち話をした。


マリー・クラレス宰相令嬢。

学園では中等部の特進科にいて頭脳明晰、文武両道、サラサラな黒髪に涼やかな黒い瞳。


あー…好きだな。


『令嬢は…そろそろ婚約者を選ぶ年齢では?』

「なかなか娘は頷かないので困り果てていますよ」

「私より強く頭脳明晰で、私を大事にし裏切らない方でないとイヤです!

私は父様母様、兄様義姉様のような夫婦になりたいのです」

「…終始これです(笑)」

『理想の夫婦が二組入れば仕方ないですよ』

「お褒めいただきありがとうございます、王太子殿下」


チラリと令嬢を見れば、胸は高鳴り知らぬ間に微笑んでしまう。


『貴女が婚約者なら…』

「っ!王太子殿下!」

『すまない…聞かなかったことにしてくれ…』

「…ユキ・ブリジテンド伯爵令嬢とは…」

『…弱音を吐くなんて…でも吐き出さなければ…辛くてたまらないのだよ』

「……私から陛下に話しますか?最近は王太子殿下は顔色も悪いですから」


胸を強調した下品なドレスにワンピース、下着が見えそうなぐらいの短い制服のスカートに、ワザと小さめのシャツをブレザーを着てまで、学園内でも胸や太腿を強調する有様。


嫌で仕方無いし、吐き気すらするし、気持ち悪くてたまらない。周りの令嬢も真似をし始めるし、一部の男子は喜んではいるがな。


『すまないな宰相。愚痴を吐くなんて…』

「イヤ…私宰相でもあのドレスには唖然としました」

『ですよね…』

『「はは…は…」』

「しかし、殿方はその様な女性や服が好きなのでは?」


爆弾を投げつけてきた令嬢。


『皆が皆好きではないよ、俺もだがね。誰彼構わずその様な服を着るのは好ましくない。

マリー・クラレス宰相令嬢、君には…薄いグリーンか薄い黄色のワンピースが似合うと思う』

「っ…王太子殿下!…」

『長くなりましたが…話を聞いていただきありがとうございます、宰相殿』

「…頑張ってください」

「……」

『では、失礼する』


あー、癒やされた。マリー・クラレス宰相令嬢カワイイ。




次期国王陛下になる俺と、次期王妃になるユキ・ブリジデンドのお披露目パーティー。


この日は、きちんとした礼服で身を包み、皆に挨拶をする場のはずが…。


ユキ・ブリジデンドは、真っ赤なドレスに胸を強調したマーメイドドレス。スカートはスリットが左右にあり太腿まであり、アクセサリーも赤い宝石。


俺は温厚な方だ。怒鳴ることもなく窘める方だ。我慢の限界であり、プチンとキレた。


『ユキ・ブリジデンド…今日がどの様な場か理解しているのか?もし、理解していてその様なドレスを仕立てたなら頭がオカシイだけだ!』

「ひ…酷いです!喜んでいただけるように…わ…私は!」

『言ってみろ!今日がどの様な日かを!』

「…次期国王陛下と…次期王妃の…お披露目パーティー」

『なら、何なんだそのドレスは!色は!我国の色は赤なのか!』

「え…と…」

『知らぬのか…我国の色はグリーンだ。赤は…敵国の色だ!王妃になるのにそれすら分からないのか』


ギラリと睨む。


『それに…貴族や腹心がいる大切なパーティーに、そのドレスは不釣合も甚だしい』

「殿方達は褒めてくれますわ」

『……場所を弁えろ、ユキ・ブリジデンド伯爵令嬢……』


ヒヤリとする声、鋭く軽蔑した眼差し、俺はこんな風にも出来たんだ。


『マナーを学ばないのか?』

「ランドル様は厳しくて、私は毎日毎日叱られて…」

『それがどうした』

「え…」

『ランドル・カナル前王妃は…俺の祖母だ。王妃を努め、母も祖母から妃としてのマナーを学んだが?』

「あ、え…と…」

『はぁ…もう良い。下がれ』

「で、でも!」

『っ下がれ!!!!!』

「ひ、酷い…酷いですわ…」

『…俺は仕方なくユキ・ブリジデンド伯爵令嬢と婚約した。父親同士の約束だからな。だが我慢の限界を向かえた。

学園でも下品極まりない制服を着て、パーティーも不釣合なドレスに化粧、全て我慢していたがもう無理だ!』

「お待ち下さい…シッカリとマナーも学びます!」

『目を瞑って来た。注意もしてきた。ユキ・ブリジデンド伯爵令嬢、そんな俺に…ヤキモチ焼きさん、など戯けたことを言ってくれたよな』

「っ…」

『無理矢理マナーを教養を得よとは言わない。

だが…だが今回のパーティーで我慢の限界だ!娼婦に成り下がった妃など要らぬ!いや…娼婦に悪かったか、娼婦もマナーや教養はあるからな……娼婦以下だ、


俺は踵を返し、パーティー会場で謝罪をしながら、貴族や腹心と話をして場を誤魔化した。




部屋に戻り頭を抱える。

疲れた、本当に疲れた。すれ違いに、現国王の父を睨みつけると、バツが悪そうに下を向きながら足早に去った。


無様なもんだ。

ユキ・ブリジデンド伯爵令嬢に骨抜きなのは知ってる。


『仕方無い』


俺は従兄弟に…まだ3歳の従兄弟に王太子の座を譲ろう。3歳の従兄弟ならば、ユキ・ブリジデンド伯爵令嬢は手は出せない。


『俺は生涯に一度だけ使える王太子特権訴訟を使う』


金庫にある書類に必要事項を記入し、何回も何回も口に出し確認をし提出をした。




それから、王太子は従兄弟になり、産まれて一年の別のリリア・コンツェルント伯爵令嬢が婚約者となった。


俺は前から勉強していた法律の勉学に勤しみながら、国立法廷士の資格を得て、アパートメントで一人暮らしをする。


『…良く来てくれた』

「…はい」

『まだ、料理は下手で不味いかもしれないが食べてくれ』

「そんな!ギュラン様が作った料理、不味いわけないです」

『様は要らないよ、クラレス嬢』


テーブルに案内し、談笑し、本題に入る。


『マリー・クラレス宰相令嬢、良ければ結婚前提に付き合って欲しい』

「私なんか」

『貴女が良い』

「はい…はい!」


涙を流し微笑む彼女を、俺は忘れはしない。

その姿は美しく、慈愛に満ち溢れて、俺は新たに心から誓った。


マリー・クラレス宰相令嬢を、永遠に愛すると。

読んでいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 屑なの?お莫迦なの?国王!! 教養もマナーも無い人を未来の王妃に据えようとして。 ただ…惚れてただけ?? 後 王太子を辞退するときの国王との会話も読みたかったな! 相当嫌味を言いそ…
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