決着3
進藤は負けた事を悔やむ気持ちは無かった。ただ落とし前はこの命が此処で散る事を指すとおもっていた。裁判にかけられる事は無い。異能者の能力で、引き起こされた事件を立件した例は無い。今更、生きて償う選択肢があるとは思って無かった。
「落とし前って生きてどう着けるんだ?死ぬ以外にどうすると?」
「死ぬんは逃げとるだけや。生きて生き抜いて反省するんや!囚われて何もでけんでもな」
千堂は噛んて含む様に言った。
「そうね。貴方に残された生は多分そう長くはないわ。その残された時間いっぱい使って考える事ね。自分が奪った命の重さを」
アリスも言い聞かせる様に言った。
「あいつ等だって命の重さなんて考えて無かったぞ。俺を簡単に見捨てた。俺は私刑を受けて生きたまま焼かれたんだ。テロリストを、抑える為に犠牲等考えてられなかったのは分かるが、切り捨てられる尻尾は痛を感じるんだよ」
進藤はそう反論した。そんな進藤の目を覗き込む様に合わせた蓮が囁くように呟く。
「復讐をなした時満足しましたか?」
「いや、虚しさしか感じなかった。だからこの国の矛盾と戦う事にしたんた」
「血を流してもですか?」
「ああ」
「流される血に痛みが伴わないとでも?」
「……」
「貴方は矛盾に気がついた。それは人として誇って良い。血を流せばただのテロリストだ。かってあなたを焼いたカルトの狂信者のテロリストと同じく。伴う痛みはかっての貴方が感じた痛みだ」
「……」
「そやな。ただの繰り返しやな」
「ま、納得出来ないでしょうがね」
千堂とアリスがそう言った後、暫し沈黙が流れた。天使が通り過ぎるいくばくかの時か流れた後、不意に進藤の両の目から涙が溢れ落ちた。
「俺は何をやってたんだろう?何の為の時間だったんだ。全て意味の無い事に費やして」
「そうですね。ただ血だけが流れた。貴方が流した血です。向き合うべき業」
蓮は言うべき事は言い終えたと、踵を返し部屋から出て行った。入れ違いに林秀文〈棋士〉達が配下のナイツのメンバーと入ってきた。
「あとは頼んます」
千堂はそう言伝けると蓮を追った。蓮は足早に進んており、千堂は少し小走りになって追いつくと唐突に聞いた。
「進藤があないにあっさり自分に非を認めるとは思わんかった。何かしたんか?」
「〈天照〉日月眼を使った。心の闇を溶かす権能さ。たからあれだけで自分の非を認めた。でも元々自分のやってた事に疑問は感じてたんだろう。ただ意味が無いとは認めたくなかったって所かな」
「怖いな自分でも疑問に感じながら人を傷つけられるんは」
「そういうもんじゃないの?括弧たる信念で人を傷つけられるのは狂信者のテロリストだよ。進藤に言った通りにね。人は自分を疑いながら行動する生き物だよ。自分は正しいのか?間違ってないのか?自問自答しながら進むんだ」
「蓮も、そうなんか?」
「うん。千堂は迷いが少なそうだけど全く考えない訳じゃないだろ?」
「そやな、たまに振り返るな自分の走って来た道が間違いかどうか。でも、わいは取り敢えず突っ走ってからやな」
「千堂らしいな」
「蓮から言わせれば、進藤もただの人か?」
「ああ。ただ人より強いだけの人だ」




