帰還
蓮は修行から帰った翌日、朝からナイツに出勤する。更衣室で、トレーニングウェアに着替えて十六夜持って、地下2階の訓練場へ。平馬を含めフルメンバーが、蓮を待っていた。
「蓮、強ようなったか?わいが確かめたるわ」
相棒の変化に、興味津々の千堂が早々に手合わせを挑んでくる。
「じゃ、お願いするかな」
蓮と千堂は距離を取ると、向かい合う。蓮が間合いを詰めにかかる。千堂は電撃で迎撃する。
「乱撃舞」
千堂が電撃を撃つ瞬間、蓮の瞳に虹色が輝く。電撃は放たれなかった。蓮が縮地で一気に距離を詰め抜刀術で切りかかる。
「梅花八ヶ突」
躱したリメリケンサックで受けたり、五撃迄は防ぐが三撃を受けた。
「能力封じたんか?」
「そう」
「抜刀術も手数増えとる」
「まあね」
「未だ未だ」
千堂は1234のコンビネーションを繰り出した。ジャブ、ストレート、フック、肝臓ヘのスマシュ。しかし、肝臓ヘスマシュ喰らったのは千堂の方だった。カウンターで喰らった千堂は苦悶する。鏡眼と千里眼の権能で蓮が鏡写しで喰らわせたのだ。
「八方塞がりか?でも未だ終われん」
千堂は拳だけで無く、普段使わなかった蹴りも繰り出す。しかし、蓮には掠りもしない。ガードに刀を翳されるとダメージ受ける始末だった。遂に千堂がギブアップした。
「お手上げやった。初見でスピードも悪ないはず、どうしてや何でや!?」
「其れが(虹目ー七輪眼)の力だ!」
(棋士)林秀文が落ち着いた声で言う。千堂を治療しながら(ペアー)アリス・パーカーも興奮気味に言った。
「動きも段違いだった。速さも凄いけど無駄が無い」
「次は僕ですね」
(オーシャン)緑川文博がペットボトルから水を滴らせるとウォーターソードになった。蓮は刀を無造作に上段から振り落とす。十六夜がウォーターソードに触れると水になり、緑川の頭部を濡らす。蓮が寸止めで止めると、緑川は後ろへ飛び退き水を硬化した水の槍を降らした。しかし、蓮を濡らすだけだった。
「随分大粒の雨だ」
「未だ未だ。冴子さん!」
「「合体技!」」
掛け声とは裏腹に物凄く冷たい雨が降るだけだった。緑川も(アイスドール)氷室冴子も能力封じられていた。雨が降るのは緑川が硬化させ無ければ、安全との判断なのだろう。
「次元斬。高重力5G」
(かまいたち)宮藤哲人の攻撃は何一つ発動しない。
「手も足も出ないなんてな。とんでもない力だ」
「能力封じられるなら剣技で勝負といこう」
(業炎)聖清十郎小太刀二刀流で構える。蓮が横殴りの攻撃を自分の右から叩き込む。
「右も守れ!」
林が清十郎に指示する。蓮の一撃を左手の(月牙)で受けた清十郎は、右手の(風牙)にも衝撃を受けた。
「対閃受けられましたか」
清十郎はお返しとばかりに、上下から二刀を一閃させる。そこに蓮の身体は無く、清十郎から見て右に移動していた。
「突いてくる躱せ!」
林が咄嗟に指示するが降る、蓮は真下から切り上げていた。清十郎は真下に二刀をクロスさせて受けたか、蓮の十六夜は上からも降って来る。清十郎は受けられなかった。
「昇龍落雷」
蓮が技名を告げ寸止めた。
「棋士の予知が外れた!?」
林以外は驚愕の反応だ。
「俺が予知すると予知して裏をかいたんだ。鏡眼を使えば蓮も予知の能力者さ」
蓮の予想以上の強化振りに皆満足気だ。ルーキー二人も手合わせを請うた。琢磨とは一瞬でけりがついた。右回し蹴りできた琢磨の軸足を、蓮の後ろ右回し蹴りで刈って倒れ込む琢磨に十六夜を突き付けて終わり。真美の水弾は全て蓮が火球で相殺して、真美は蓮の火球で狙撃され捲って終わった。