3.適正の儀
僕達家族は、人数が少し減り入れるようになった大聖堂にきている。この場所は適正を調べる為だけに作られた物で各教会には必ず有るらしい。ただ広さは、その街や町の規模によって異なるとのこと。
僕は中に入るとその広さに驚いた。とにかく広いのだ。中には優に100人を越える人が居り、その中に上等な服を着た家族も居り貴族か商人だと思う。
「広くて人が沢山ですね」
「そうだろう。びっくりしたか?」
「はい、とってもびっくりしました。中には貴族の様な人や商人の様な人がいるみたいですが?」
「そうだな、この適正を調べるのは教会でしか、正確にはここ大聖堂でしか出来ないからな。それは、貴族や大商人でも例外はない。というのも、この適正を調べること自体が『適正の儀』と言って神聖な儀式であるからなんだ。だから貴族や大商人でも必ず教会に足を運ばないといけない。まぁそれだけじゃなく有能な適正持ちが居たらスカウトするのも目的かもしれないがな」
そう言って父さんは壁の近くに視線を送る。僕もそっちを見ると壁際に執事の格好の人や貴族、商人の人達が立っていた。ただ、その近くに子どもは1人も居なかった。
「そうなんだ、だからあの人達は壁際いるんですね。でも、貴族の人にスカウトされたら嬉しいと思うけど、嫌な人は断れないんじゃないの?」
僕のこの疑問には母さんが答えてくれた。
「そうでもないのよ。ここは大聖堂、つまり神々のお膝元なの。だから、ここで強引にスカウトすればその人には災いが起きるわ。これは、過去に何度も起きたから皆知っているの。だからこの場でのスカウトは貴族や商人の1家につき1回だけっていう暗黙のルールが生まれたわ」
「ちなみに、ここでスカウトを断った者にここを出た後で別の家の者がスカウトする事も禁止されている。これも、過去に何度も災いが起きたからだな。例外として、スカウトしたい子が自分の子どもの場合は災いが起きないな。例えば、家の事情で親戚に預けていたとか、暮らしに困り教会に保護を頼んだ子どもの親とかだな。そういうのは、本当の家族として災いが起きないが、もしその家族がろくでなしの家族だった場合は子どもの判断で決まるらしい。詳しくはわかってないがな」
「そうなんだ…それにしてもいろんな適正があるんだね」
僕の疑問に父さん達が答えてくれた。その間も
『適正の儀』は進み沢山の適正を聞いていた。例えば、剣士、騎士、猟師、弓士等があれば、魔法使い、魔法師、魔導士、精霊術師等の魔法適正の人もいる。ちなみに、魔法使いは初級魔法のみ、魔法師は中級魔法まで、魔導士は上級魔法まで使うことができる。精霊術師は精霊と契約しその力を使うことができる。その他にも、商人や書記、算術、等の文官や商人よりの者も居た。中には1つだけじゃなく2つ以上持っていた人もいた。
そして、スカウトしている光景を見た。スカウトされた人は殆んどの人が嬉しそうに喜んでいたが、少数だがスカウトを断った人もいた。
そしてついに僕の番がきた。番号を呼ばれたので向かうとそこには、白いローブを着た穏和そうな男性がいた。
「はじめまして、私はこの教会の司祭をしている者です。それでは、力を抜いてこの水晶に両手を乗せて下さい」
「わかりました」
僕は言われた通りに力を抜き目の前の透明で両手で持てそうな水晶に両手を乗せた。
すると、水晶は一瞬だけ光元に戻った。
暫くすると司祭様が僕の適正を教えてくれた。
「おめでとうございます!あなた様の適正は『万能テイマー』そして『大魔導士』の2つです」
司祭様がそう言った瞬間、大聖堂内がざわついた。