表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【BL】そりは"えちぅど"。  作者: .六条河原おにびんびn


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/59

初情詣サバイバー

* * *


 太陽の子、風の子、俺の恋人はとにかく元気だ。犬みたいな人懐こさで猫みたいにしなやか、犬みたいな愛嬌で、猫みたいに温かい。湯たんぽみたいだと思っていたが、今夜は俺が湯たんぽだった。




 混むだろうか?混むだろうな。このあたりならあそこしかない。白い息で手先を洗う彼を抱き寄せる。迷わないようにだ、他意はない。|邪≪よこしま≫な気持ちは捨てないと。彼が鼻を擤-か-んでから。




「ちょお寒み。あっためてぇ」



 まだ俺たちもやってないのに、俺のコートの中で、俺の手は彼の手と強く抱き合って同衾-どうきん-する。まだ俺たちだって、やっていないのに……




「おまえ意外とあったかいんだな」



 どうして今日だけ温かいのだろう?俺は彼のために存在している気がした。思い出した、カイロを持っている。彼の手が火傷しないように暫くは俺が持つし、俺が温めればいい。カイロの熱だけなんだ。俺の体温は低い。けれど熱い。彼と|肌理≪きめ≫を合わせるたびに化学反応を起こしている気がする。俺が彼から熱をもらっている?




「ヤベ」



「どうした」



「多分5円玉ない!」




 ああよかった。もう君に縁なんか要らない。俺が居るから。神社が創建されて朽ち果てるまでよりも長く、君には俺が。



「お前の5円玉と俺の5円玉が結婚して10円玉になったということで、いいだろう?」



「ん?えっ?どゆこと?」



「5+5は」



「10?」



 可愛い俺の恋人。彼が怪我をしないように、病気もしないで、事故にも事件にも遭わないように。9円、彼。1円分だけ、浮気するなと、よそ見するなと、俺だけ見ていろと、別に疑っているわけではないけれど、俺のために祈らせろ。



「えっ、えっ5円玉って結婚すんの?1円玉が10回結婚したら?え?」



 コートの中で彼の手を握り締める。放さない。俺が彼をしめ縄で繋いでしまう前に、俺をしめ縄で縛ってくれ。




* * *

2021.1.1

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ