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どういうことなのか。

本日2話目です

「俺は、メイド喫茶がいい」



 それは異論を認めないとでも言いたげな、低く、威圧するような声だった。実際には、緊張のあまり上手く呼吸ができず声が掠れてしまっただけなのだが、少なくとも受けてはそう取っただろう。


 シンと静まり返った教室で、一番に声を上げたのは司会役の石部金吉だった。


「ふっ、ふん。わ、悪くないんじゃないか?」


 石部はチラチラと皇妃の方を見ながら、そんなことを言う。意外にも、男子からの評判は悪くなく、チラホラと賛同するような声が上がった。

 だが、一部の女子陣からすれば、それは自分達が()()()のように扱われているような気がして、気分が良くないと、そんな意見もあがる。秋梔夏芽が声をあげた以上、無闇に否定することもできないでいたが、不満は決してゼロではなかった。


 そんな空気感の中、二重心々良は秋梔夏芽の真意を伺うべく、そちらに視線を向ける。するとどういう訳か、夏芽もこっちを見ていた。


 交差する視線。


 実際には、夏芽は気力を使い果たし、ただぼーっとしていただけだが、二重はそこに()()を感じてしまった。


 ──もしかして私のメイド服姿が見たいってこと!?


 全然違う。全然違うが、二重は内心で大盛り上がり。何としてでもメイド喫茶がやりたくなった。


「ここらもメイド喫茶さんせーい!」


 声を大にして、場の主導権を掴む。

 チラホラと不満が出ているのは確かだ。

 ならばその不満を消し去ってしまえばいい。そんなこと、二重にとっては簡単なことだ。


「それでなんだけど〜。女の子はメイド服を着るとしても、男の子はどういう格好をするのかな? こういうのって男女平等じゃないといけないよね? なっくん、どう思う?」


 それは一部メイド喫茶にマイナス的な印象を抱いているクラスメイトたちの意見をまとめたものだった。愛萌のように密かにメイド服のような華美な衣装に憧れる者、二重のように自身の容姿への自信からメイド服を纏いたいと考えるもの、クラスメイトの中にも色々いるが、否定的な感情を抱く生徒達の声は皆同じなのだ。


「えっと、ごめん、もう一回言ってもらっていいかな?」


 ぼーっとしていた夏芽は不意にかけられた声に驚きながら、二重に聞き返す。


「どんな格好をするのかなって話だよ」


「うん? そりゃあ、メイド服だよ。メイド喫茶だからね」


「「「えっ……」」」


「……あれ、俺なんかやっちゃいました?」


 夏芽の声に、戸惑いの声が上がったのは男子達だった。男子達は内心、スーツや執事服、もしくは裏方の仕事をするものだと、勝手に思い込んでいた。

 

 しかし、夏芽の口から出てきた言葉は全く別のもの。クラス全員が、メイド服を着用するとのものだった。これには流石の男子たちも戸惑いを隠せない。しかし──


「いいじゃない。いいと思うわ。それなら私も賛成よ」


 一二三三二一(ひふみみにい)は口角をあげて言う。そして、それに続くように()()()()と、不満を持っていた女子陣も賛成の言葉をあげる。


 クラスの雰囲気が、肯定派の空気に傾き始める。しかし、今度は先程まで賛成の意を示していた男子の中から浮かない顔の人物がちらほらと現れ始める。自身がメイド服を身に纏うとなると、また話が変わってくる、と。


「ねえ、なっくん。それは全員が着替えるのかな?」


「そうだね。やっぱりこういうのは一体感が大事だと思うし、()()()3()5()()()()が、着替えるべきだと思うよ。ちなみに(だん)──」


『男子は執事服がいいと思う』と、そう続けようとした夏芽だったが、その声は知久英次の声によってかき消されてしまう。


「35人ってことは……つまり先生もってことか?」


「え?」


「「「…………(なん)……だと……」」」


 夏芽のいう35人とは、一一(にのまえはじめ)を含めた元いた34人+転校生の安藤さんのことだったのだが、知久たちは一一を除いた34人に先生を加えた35人と解釈したらしい。


「ちょっ、お前らちょっと待て」


 焦る三崎先生。

 しかし、そんな声を遮るくらいの大きな雄叫びが男子陣から上がる。


「「「おおおおおおおおお!!」」」


「着る! 俺はメイド服を着るぞ!」


「お、俺もだ! 先生が着るならメイド服着る!」


「いいわ。私だって着てやるわよ。()()の為だと思えば安いものだわ」


「これで惚れる。夏芽くんは私に期待してた。つまり惚れる……」


「ここちむのメイドコス激アツ過ぎでござる!」


「ふっ。超絶美しボクはどのような格好をしたところで超絶美しいのだけれどね」




 


「……えっ、えっ……?」


 大盛り上がりするクラスで夏芽と三崎だけが置いてけぼりになっていた。

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