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096(市子を宜しく)

その頃、警察病院でテロリスト達は厳しい取り調べを受けていた。唯一怪我をしてない高橋は警察署の取調室で全て洗いざらい吐露する。


「小暮桜子さんを人質に捕れば、上手く行くと思った」

「ふむ。今井市子さんが銀行に居たのは偶然?」


 捜査1課の刑事は疑問だった。


「必然だ。私が手引きした。メールを送り、銀行にそれとなく誘導した」

「動機は?」

「瀬奈ケーイチ君を封じるために」

「ほう。瀬奈君を恐れていたか。暗闇、煙幕、デコイと、ドローンにとって絶対的不利をひっくり返したんだからな」

「そうだ。あの状況下で手だけを正確に狙って撃っていた。ケーイチ君をテロリストに加えようとしたが、リスクもあった」

「テロの動機は?」

「私達のボス、北原照夫を不遇に陥れた警察への反撃だ」

「引き寄せの法則はテロを誘発するのか?」

「違う! 断じて違う!」

「話を変えよう。瀬奈建築を利用した?」

「瀬奈建築の倉庫に武器弾薬を集めた。ケーイチ君の父親に300万円を支払って。丁度いい場所だった」

「テロの目的は北原照夫の復讐劇という訳か」

「はい」

「北原照夫が要求した、3つの条件はダミー、ブラフか?」

「はい」

「高橋崇。極刑は免れないぞ」

「分かってます」


 次の日の朝。ケーイチは警察署へ連行され、取り調べを受ける。取調室ではない。中庭だ。中谷刑事部長は不思議でならなかった。


「どうやって、暗闇、煙幕、デコイの影響下で正確に銃撃出来たの?」

「昨日も言った通り、故人である、田中マイに導かれて」

「科学では解明出来ないね。凄い能力だ。君は人間不合格だと思ってたが、人間合格だな」

「俺は…………人間合格?」

「常人では到底無理だ。このまま、警察組織に従事してくれないかな?」

「俺は、服部飲料の社員です。これからも」

「という事は、警察組織に組み込まれるよ」

「分かってます」

「ありがとう。ケーイチ君をガンドローン部隊隊長に任命したい。これからオリンピックもある」


――数週間後、ケーイチはGTRを運転して墓地に行く。お墓参りだ。墓前で手を合わせる。


「マイ、ありがとう。市子を宜しく」

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