088(ニュータイプ専用機)
ニュースをチェックしていたテロリストはボスを呼ぶ。
「ボス! ボス! 指定峠制度廃止をマジでやりやがりましたよ。小暮総理大臣は」
「一歩前進だな。ご苦労」
その頃、ケーイチは睡眠薬を飲み、GTRの助手席で仮眠を取っていた。夢にマイが出てきた。
「ケーイチ、大変な事が起きたね」
「そうだな。まあ、俺なしでも解決するだろう」
「ケーイチ、引き寄せの法則を忘れちゃった? 市子を助けてあげて」
「やっぱり、市子はテロに巻き込まれてるの?」
「そうだよ。テロリストの中に協力者が居る。その人を上手く使うの」
「俺には無理だよ」
「バカ。“俺には出来る”と10回念じなさい」
「引き寄せの法則を今更?」
「いいから、やりなさい!」
「分かったよ。俺には出来る、俺には出来る、――」
ケーイチは言われた通り、10回唱える。
「よくできました。ここからが本題よ。ケーイチ、よく聞いて。警察が突入しても、対人地雷でアウト。ガンドローンの出番よ」
「ニュースで観てたけど、テロリストはかなり武装してる。ドローンで勝ち目あるの?」
「テロリストは煙幕や電波妨害も出来る」
「お手上げじゃん」
「私が導いてあげる」
「どうやって?」
「それは現場で教える。急いで」
ふわっと夢からマイが消えて、ケーイチは目を覚ます。
「マイ…………。市子を助けるよ」
ケーイチは服部社長に電話を入れる。
「服部社長、俺も現場に行きます」
「そうしてくれ。ゼニアでも歯が立たないそうだ」
「ゼニアでも……」
「金城君がドローンで偵察に行ってから、テロリストはデコイを使ってるそうだ」
「電波妨害ですか?」
「ああ。暗闇の中でガンドローンを飛ばすようなものだ。電波妨害装置が切れたところで突撃してほしい」
「分かりました。行ってきます」
「重々気を付けてね」ピッ。
警察車両に先導され、ケーイチはR35GTRを運転して対策本部へ行く。
その頃、小暮総理大臣は責任転嫁の先を考えていた。風祭警視をスケープゴートにするか。風祭警視の左遷は確定だ。それにケーイチが関わってくれれば、作戦が失敗しても精神病を理由に、内閣へのダメージを最小限にとどめられると考えていた。プログラムの遺産だ。
ケーイチは対策本部に降り立つ。先導していた警察車両には、赤い“ニュータイプ専用”のガンドローンが乗せられていた。




