087(イイダ作戦、開始)
警察官はスピーカーでネゴシエーションをする。
「武器を捨てて、おとなしく投降しなさい!」
ダダダダダダ――! 警察官の訴えから返ってきた返事は、アサルトライフルの銃撃だった。流れ弾で数人が負傷する。
政府、警察の対応は全てが後手後手だ。ガンドローン部隊はしびれを切らす。ゼニア、カナメ、金城は動いてしまう。金城のFD3Sは警察車両に先導され、銀行から道路を挟んだ所にある対策本部へ行く。
ケーイチは服部飲料の本社に留まる。
「風祭警視。ガンドローンの名手、ゼニアさん、カナメさん、金城さんです」
警察官に案内で3人は風祭警視に会う。
「宜しく。瀬奈ケーイチ君は?」
「会社に残りました」
「やはり、臆したか。人間不合格者め」
「おい!」
ゼニアが風祭警視に飛びかかりそうになったところで、金城とカナメが制止する。
「血気盛んだね、坊や」
「僕は女だ!」
「変わったプレイだね、坊や。いや、流行りかな? アハハ」
「お前! 危機感ねえのかよ!?」
また、ゼニアは風祭警視に飛びかかりそうになり、金城とカナメが制止する。
「ゼニアさん、落ち着いて」
正直に言うと風祭警視は無能だ。
「じゃあ、お三方。ガンドローンで制圧してきて。方法は任せる。私は懲戒免職は免れない。小暮内閣にも興味はない。好きにやって」
「やる気あんのかよ!?」
まずは金城が操るノーマルなドローンが偵察に行く。正面玄関から。
「なんだ、こりゃ」
テロリストにすぐ見付かってしまった。バキッ! 金属バットで叩き壊された。
金城はヘッドマウントディスプレイを外す。
「ダメだー。2人とも、ガンドローンはなし。テロリストは皆、人質を盾にする。高度に訓練されている」
「裏口から行けないかな? テロリストの裏をかいて」
「ダメだ。何人テロリストが居て、どこに配置してるか分からない以上、羽音でバレてしまう」
「人質が20人、銀行の人が10人だよな」
「ゼニアさん、何か良い考えてあるの?」
「情報によると、50人分の食事を用意した。つまり、テロリストは20人だ」
「そんなに多くないと思うよ。見た感じ」
テロリストの1人はテレビでニュースを観ながら、立てこもっている銀行を俯瞰でチェックしている。すると、緊急ニュース速報のテロップが出た。
“指定峠制度廃止を閣議決定”




