084(テロ対策)
小暮総理大臣は執務室でコーヒーを飲んでいた。安いインスタントを。そして、タバコを一服する。赤ラークだ。肺の奥まで煙を入れ、吐き出す。落ち着く。
小暮総理大臣の携帯電話に娘で秘書をしている桜子から着信が来た。何事だろうと電話に出る。
「桜子、急用か?」
「パパ。私、テロリストに捕まっちゃった」
「何!? テロリストだと!?」
「銀行に入ったところで襲われちゃった。多分、政治犯。すでに1人殺されたわ」
「いつもの銀行だな? すぐに特殊部隊を展開させる」
テロリストのボスは桜子から携帯電話を取り上げる。
「お電話代わりました。今から言う事を実行に移せば、娘さんは返してやるよ」
「一応聞こうか」
「指定峠制度を廃止しろ。次に現金3兆円を用意しろ。それから、要求の肝だ。東京拘置所に不当拘留されている、ロベルトを釈放しろ。タイムリミットは今から48時間」
「難題だな」
「現金が無理なら、仮想通貨でもいい」
「分かった。要求を呑めば、娘を返してくれるんだな?」
「約束は守ろう。但しちょっとでも渋ったら、五体満足とはいかないからな」ピッ。
小暮総理大臣は可及的速やかに対策チームを組織して、桜子が監禁されている銀行に向かわせた。
服部飲料の本社にもこの状況が伝えられた。そして、ガンドローンに白羽の矢が立てられた。銀行立てこもり事件の陣頭指揮を執る、風祭警視はガンドローンに催涙弾を搭載できないか通達を出す。――結果は無理。急造品には不確定要素が多すぎると。風祭警視はガンドローンを諦め、ネゴシエーションに努める。
人質になっていた荻野はテロリストに提案する。
「おい、君達」
「黙ってろ!」
「まあまあ。聞いてくれ」
「なんだ、言ってみろ」
テロリストのボスが荻野の提案を聞く。
「どうだろう、私を仲間に入れてくれないか? 命さえ助けてくれるなら、何でも協力する。もう銀行の外は警官だらけだ」
「…………良いだろう。1つやってもらいたい事がある」
「任せなさい」
荻野は自分だけでも助かれば、それで良かった。
「あんた、名前は?」
「荻野だ」
「よし、荻野。お前にライフルを渡す」
「人質を見張るんだな?」
荻野は足枷を嵌められ、鎖で繋がれた。
「外に出て、警察どもを撃ち殺せ」
「えっ!? 待て待て待て……私もテロリストだと勘違いされて、撃たれてしまうじゃないか」




