082(爆ドリ)
ケーイチは、時の総理大臣の娘、小暮桜子に感謝していた。ケーイチの持論をそのまま政府が採用して、今や道路交通法を守りながら、ストリートレース、ドリフトが出来る。
ケーイチはガソリンスタンドに寄り、シルビアにハイオクを給油する。そして、街から南西の5連コーナー指定峠に行く。
制服の警察官とボランティアが駐車場に待機しており、6時間3000円のドリフト税を徴収される。
ケーイチはシルビアを左の駐車場に停めて、警察官に3000円を納める。
洋介のGTSと近藤のシビックタイプRがコーナーを登ってきた。ボランティアのスタッフが駐車場に誘導する。
洋介と近藤は車を降りて、タバコを吸いながら雑談を始めた。ケーイチは洋介の元へ行く。
「よっ、ケーイチ。乗せてくれ」
「良いですよ。でもカマ野郎はノーセンキュー」
「瀬奈。てめえは、なんちゃって走り屋だろ。俺様が化けの皮を剥いでやる」
「あっそ」
ケーイチは、洋介を助手席に乗せて、5連コーナーを下っていく。各コーナーに赤と青の信号機が設置されており、一般車が通る時は赤信号になる。
ケーイチは直線でスピンターンをする。近藤のシビックもスピンターンしてシルビアの裏に着ける。
ケーイチはギアを1速に入れ、アクセルを吹かし、クラッチを一気に繋げて発進させた。ギアを2速に入れ、加速させる。
近藤も車を加速させた。
ケーイチは1コーナーからクラッチ蹴りでドリフトして加速していく。近藤はピッタリ着いていく。グリップ走行で。
ケーイチはS字を繋げる。ギャラリーは沸く。それを見た近藤は焦り、アンダーステアが出てしまった。ガシャン! 近藤のシビックはガードレールにフロントの左をヒットさせてしまう。
「あのクソガキ! あのクソガキ! あのクソガキ!」
近藤は過放電してしまった。
ケーイチは残りのコーナーも滑って魅せた。
――近藤がレッカーを待っている間、ケーイチと洋介は爆ドリをする。前後を変えながら追走してみたり、マシンスワップしてドリフトしたり、あっという間に時が過ぎた。もうシルビアのリアタイヤはワイヤーが出てしまっている。火花を散らしながら、最終滑走をして、ケーイチはタイヤ交換をする。それから、自宅マンションに帰った。リーガルな公道サーキット。最高だ。